SS 愛を告げる日によせて


ご無沙汰しております。
もうすぐバレンタインデーですね。

せっかくなので、おひとつ
短いですが。

本誌沿い設定

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愛を告げる日によせて
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シャランと鈴の音の先触れ。

――陛下が後宮にお帰りよ

いつものように支度を整え、袖を合わせぴしりと背筋を伸ばす。
しなやかな衣擦れの音、ふわりと漂うあの人の香り。

「おかえりなさいませ、陛下!」
うれしくてつい、2、3歩踏み出してしまう。

「…夕鈴」

そういうと、いきなり陛下は
カプリと私の鼻を咬んだ。

「――っ!?×◎△*★♪○…」
(へーかっ、な、なにを!)と言ったはずなのに
耳から入ってくる自分の声は、フガフガとなんとも情けない声とも音ともつかないものだった。

陛下に雁字搦めにされた私は
息苦しくて真っ赤になりながら押し戻すのだけど
私の力くらいでは、びくとも動じない。

見た目綺麗なくせに、陛下ってばすごい力…!

(っ、放してくださいっ!!)
そういってるつもりだけど、またフガフガへんな音が漏れている

コリコリ、モゴモゴひたすら鼻を舐られ、もうどうしてよいか分からない。

…息が止まりそうになって苦しくて目がグルグル回りだした。
ついにダランと力を抜いたら
ようやく
「――あ!」
といって解放された。

よろよろとたたらをふむ私は
申し訳なさそうに見つめる彼と少しだけ間合いをはかる。

「…ごめん」

困った小犬の、とろける笑顔がそこにある。

「…っ――!!」
御免じゃないでしょっ!!

「――だって。ゆーりんの鼻になんだかおいしそうなものが付いてたから…
お菓子、作ってくれてたの?
ご馳走様!」

あっ!!
しまった――

と思った瞬間、
かぁあぁっ と
顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。

今日という日は
ちゃんとしたかったのに
驚かせたかったのに。

それでも
陛下がニコニコとあんまり嬉しそうな顔をするから…

「…」

袂からそっと包みを取り出す。

「…今更ですが」

ううん、といいながら
優しく肯んずる彼。

頬をなでられるだけで、嬉しくて
どうしてこんなにも目の前のこの人のことが好きなんだろうって
自分が恥ずかしくなるばかり。

「う、上手にできたかどうか
分かりませんが…」

「夕鈴が作ってくれたんでしょ?」

彼の眼を見たら
ますます、もう逃げられないということだけが
…分かった。

すこし手を広げた彼に歩み寄り
そっと身を寄せる。

はやく
伝えたいこと
伝えないと。

辛抱できないこの人に
また食べられちゃうから――

「へーか
――大好き、です」

Happy Valentine’s Day!!


■近況報告

お手伝いしております合同誌「3つの恋のお題」の編集もほほほほぼ終わりですのほほほ(汗;)

「3つの恋のお題」事務局ブログ http://g3koi.blog.fc2.com/

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白友のよゆさまのご助力をいただいて、合同誌協賛で既刊本現パラの自家通販を2月8日~2月22日受け付けることになりました。 詳しくは1つ前の記事をご覧くださいませ→ 合同誌と現パラアンソロのお知らせ

■花粉症、始まりました。
これはサービスじゃないんですが――個人的なお話ですみません、もれなく春に付いてきてます。