[宝物]沙希さまのキリ番踏ませていただきました~^^


先ごろ、白友沙希さまSNSのお宅の45000アクセスを踏ませていただく機会に恵まれました。

よそさまのキリ番踏めるというのはほんとうに久しぶりで
その上、貴重なキリリクを受け付けていただけたものですから、
もう飛びあがって喜んでしまいました。
((((´ω`*))))ウフフウフフ

というわけで、リクエストです。
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元気の出る 心のビタミンなお話し
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沙希さまよりいただいた素敵な宝物。

当ブログでの公開にご了承いただけましたので
皆様にもお披露目させていただきます。

…では、沙希さまより~


元気が出ると仰られていたにも関わらず元気が出る?といわれると少々疑問が残る出来映えになってしまったので、もし思っていたものと違うようでしたら書き直せと仰ってください!
明るいと元気が出るの違いが理解できない何かかも知れないと思っています。
一応、本誌沿いかなという感じで、陛下一行がもう一度蓉州にいく話です。

*****

「いつかと同じですね」

夕鈴は黎翔とが離れる前に共に行った地に、再び降り立っていた。
晏流公が住んでいた場所。
そして、蘭瑶の企みが潰えた場所。
三度目に訪れたそこは以前と変わらない穏やかな空気が流れてーーは、いなかった。

「あれ?」

夕鈴はきょろきょろとあたりを見回し、首を傾げ真っ先に黎翔を見、続いて傍らに立つ李順、浩大、克右へと視線を移す。
しかしその誰もが、どうして夕鈴がそんな顔をするのかわからないという顔をするばかり。

「李翔様……?」

仕方なく夕鈴の視線はまた黎翔へと固定され、そのままたくさんの疑問符でいっぱいになった。

「どうしたの?」

そんな視線を向けられても、黎翔はようやく娶った妻の顔を見ては頬をだらしなく緩め笑うばかり。
夕鈴の顔色の変化になど、まるで気づいていないようだった。

「あのーー」

全員があまりにも当然のような顔をしている、その場所。

「なんで、こんなに人がいないんですか?!」

そこは、周りに人っ子一人いない。

びゅうびゅうと音を立てて通り過ぎる風。
今にも飛びつかんばかりに嬉しそうな、黎翔。
他の三人が同時に、ため息をついた。

「うん。僕たちだけで、いい感じだねー」

場違いな黎翔の声が響き、とうとう感極まったかのように夕鈴に抱きつく。

「……李翔様。説明してらっしゃらなかったのですか?」

李順がおそるおそるといった調子で黎翔に訪ねる。
黎翔は楽しそうな……本当に楽しそうな笑みを浮かべた。

「だって、ちょっと肝試しするだけだから!ね」

それは、きっとそんなに簡単なことではない。
抱きしめられたままの夕鈴は前に並ぶ三人の姿で、それを悟った。

***

「蘭瑶様の亡霊……ですか?」

夕鈴の頭にたくさんの疑問符が浮かぶ。
なにせ夕鈴は、蘭瑶とともに王宮で生活しているのだ。
間違いなく、蘭瑶は生きている。
亡霊など存在するはずがないのだ。

「そうそう。なんか、実際に襲われたっていう被害まであってねだから、僕たちで保養もかねて原因調査にきたってわけ」

そういってまた黎翔は暑苦しく抱きついてきた。

軒並み値下げされていた飯店の一つ。
ようやく落ち着きをとりもどした黎翔! がようやく事態を説明してくれる気持ちになったらしい。
所狭しと並べられた料理を次々口に入れながらも、起用に黎翔は話し始めた。

「ここは大切な場所だからさ」

夕鈴は黎翔の言葉で、必死に勉強した地理を思い出す。

「隣国との国境線に近いから、あまり人がいなくなると困る……でしょうか」

黎翔は一瞬驚いたような表情をした後、殊更嬉しそうに首を上下に動かし、皿に箸をのばした。

「だから肝試しがてら僕たちで行って、亡霊なんていないって証明すればいいんだよ」
「あれ、でも。それって私たちがわざわざ……」
「だから、新婚旅行も兼ねてね」

にこっと黎翔が笑い、男三人が目を背ける。

「あっちの三人にはもう少し町での噂の浸透具合とかを調べてもらって、僕とゆーりんは肝試し」

遊ぼう遊ぼう、と黎翔の幻のしっぽが振れた。

(肝試しって、そんな簡単に考えていいのかしら
?)

夕鈴は少しだけ、頭の痛くなるような思いがした。

ーー翌朝。
当然のように夕鈴と同じ部屋に宿泊した黎翔は上機嫌で、朝出会った三人に手を振った。
その直後にはもう夕鈴の肩を抱いて、くるりと背を向けさせる。

三人の目が夕鈴には若干痛いが、隣に並び立つ黎翔が本当に嬉しそうで何も言えない。
夕鈴が一番、その笑顔を見ると『まあいいや』と思ってしまうのだ。

小犬も狼も等しくその本性に変わりはない。
でも、だからこそ。
夕鈴は黎翔のどちらの面も大事にしたかった。

王宮にいる黎翔は、やはり圧倒的に狼だ。
後宮に戻ると小犬のことも多いけれど、両方が本性だと告白してからは狼のことも増えた。
巧みに使い分けられる顔に翻弄されることは多いが、そのすべてが黎翔という一人の人間を形作っている。
だから、少なくとも自分はその黎翔の様々な面を等しく尊重して認めたい。

どちらかでいる時間が多いというのは、バランスが悪いように感じられた。
だから、二人きりで小犬が増えるなら、その機会を増やしたいし、黎翔が楽しいと思えることをなるべく多く与えたかった。
少なくとも今の黎翔は本当に嬉しそうで、楽しそうだ。

その為には李順の殺気や克右のため息、浩大のにやけた顔つきは関係なかった。

「行きましょうか」

未だに慣れない、黎翔の甘い甘い微笑み。
それに負けまいと夕鈴は心の中でガッツポーズを決めて、思いっきり元気よく言ったのだった。

***

「うーん、そんなに変わりないですね」

夕鈴は屋敷の前に立った瞬間、あたりを見回していった。

夕鈴も少しはこの屋敷で働いたのだ。
雰囲気が異なれば気がつくと思っていた。

けれど、屋敷は手が入らなくなったことで少々寂れた雰囲気になってはいるものの、特に怪しいところはない。
寂れるといってもついこの間まで人が生きていたという雰囲気は保っているし、草木が延びたな……という程度のことだった。

なんでこんな平和そうなところで妙な噂が流れるのだろう、と夕鈴が首を傾げつつ黎翔の顔を見ると、何故か黎翔の方は随分険しい顔つきで、草を見ていた。

「李翔様……? あの」

噛みしめられた唇に、赤く揺らめく瞳。
フードなどでは隠しきれない、殺気。

「夕鈴。静かに」

黎翔の視線が、徐々に茂みの奥へ奥へと移ってゆく。
それと同時に黎翔の左手が夕鈴の肩へと伸びて、夕鈴は押されるように後ろに下がった。

そうする間にも黎翔の瞳はより厳しく、より鋭く。
獲物を見つけた狼のそれへと変貌してゆく。
夕鈴はその黎翔の鋭さに、よもや本物の幽霊が存在したのではないかと、恐ろしくなってきてしまった。

なんとなく黎翔の明るい雰囲気に飲まれてここまで来てしまったが、相手が幽霊では戦いようなど存在しない。
どうやって逃げたらいいのかもわからない。
でも黎翔がいればきっと大丈夫だろう……そう思ってしまうのは、夕鈴の勝手な考えだろうか。
ーーそう思って、黎翔の事を止めようと、帰ろうと袖に手を伸ばしかけたとき。

茂みの一角に向かって、黎翔の剣先が煌めいた。

剣を振り下ろされる瞬間、茂みが大きく揺れて、何かがこちらへ向けて飛び出してくる。

(ーーーーーーっ!)

夕鈴が怯えている間にも黎翔の剣は踊るように動き確実にそのものを追いつめ、気づけばその喉元まであと僅か、というところで正確に剣を止めた。
ソレは剣を首もとに当てられながらも必死に黎翔の事を睨みつけ、負けまいとしている。
けれど見るからに震えあがって、見ているこちらが可哀想に思ってしまいそうだった。

「何を考えて騒ぎを起こした?」

黎翔が尚厳しい顔つきを変えることなく、目の前にいた『子供』に問う。
以前切っ先を向けられたままの少年は、今にも大粒の涙を瞳から零しそうになっていた。

「答えなければ、切る」

幼子相手にも容赦のない狼陛下は、子供をひたすら厳しい視線で見下ろしている。

「李翔様っ」

黎翔の本気を感じた夕鈴は、思わず少年の事を抱きしめ、黎翔の剣から遠ざけた。

「ちいさな子供ではありませんか!」

見た目から判断するなら、齢は十を越えないくらいだろうか。
少し古くなった衣装に身を包んだ少年は夕鈴に抱きしめられしばらく呆然とした後、大声で泣き始めた。

「で?」

少年は黎翔が近づけば逃げ、夕鈴にしがみつく。

「李翔様」

黎翔の眉間による皺は深く、それを窘めようと夕鈴は名前を呼んだ。
相手が賊ならともかく、こんな小さな子供にこの仕打ちはないと思ったのだ。

夕鈴に睨まれた黎翔はしばらく見つめ合った後、一つため息をついて、諦めたように微笑んだ。

「ほら、この人は怖くないからね」

夕鈴は少年の頭をゆっくりと撫でた後、黎翔の方向かせる。

(ほら)

と視線で優しげな表情を作るように促す夕鈴に応えて、黎翔もなんとか笑った。

***

「だって、蘭瑶様と瑛風様が連れて行かれたんだ」

ここから動くのは嫌だと言う少年を宥め、三人は手近な飯店に入った。
何でも頼んで良いといえば、少年の瞳はきらきら
と輝き、メニュー表に釘付けになる。
座る席は当然のように夕鈴の隣で、まだ少し黎翔を警戒するような様子が見られた。

ようやく持ってこられた暖かなメニュー。
少年が決めて、三つ注文された。

「君は字が読めるのか」

黎翔が尋ねれば、少年は一瞬怯えるような表情を見せた後話し始める。

「蘭瑶様に習った」

その話に、今度は黎翔と夕鈴が驚かされる番だった。

話を要約すると、実は蘭瑶はこの地で貧しい子供相手の私塾のようなことまでしていたらしい。
そして蘭瑶がいつ帰ってきても良いように、自分たちが学んできた場所を賊などから守る為に噂を流し、人を寄りつかせないようにしていたというのだ。

黎翔と夕鈴は顔を見合わせて驚いた後、その少年としばらく行動を共にし、まるで親子のような時間を過ごした。

それから、しばらく。
蓉州に新しく官営の学校ができた。
授業料はタダ同然で、それを目当てにやってきた人々によって、また活気を取り戻したらしい。
場所はもちろん、元の蘭瑶の屋敷だった。

「子供っていいですね。青慎もかわいいし、あの、男の子も……」

夕鈴の脳裏には、最後はもうしがみついて泣きださんばかりの表情を浮かべた少年のことが思い出されていた。

「ふふ。僕の子供、産んでみる?」
「ちょっと、陛下……っ」

本物の夫婦になった夕鈴と黎翔は、そんな冗談とも本気ともとれない言葉を言って笑いあった。
けれどその楽しい笑いの波が過ぎ去った後、夕鈴の頭の中に蘭瑶の顔が思い浮かぶ。

(子供が、お好きだったんだ)

蘭瑶様が瑛風様を真実どう考えていたのか。
夕鈴はずっと心の中で、その答えを見つけられずにいたけれどーー。

「うん! 私いくらでも産みますよ」

明るい声が、後宮に響いた。

おしまい

長々とおつきあいいただきありがとうございました!
沙希


沙希さまの素敵な作品を読ませていただいて、とっても幸せになりました

ほんとうにありがとうございました

おりざ