SS 王様だもん

他人はもとより自らも厳しく律する狼陛下も人の子。
さあ、時にはお酒の力で理性の鎧を脱ぎ捨ててごらんなさいませ。
酔っ払いヘーカのおちゃめな暴挙を妄想。

赤十字 平成28年熊本地震災害義援金

本誌設定、ネタバレを含みますのでコミックス派の方はご注意ください。

【原作沿い】【残念レベル▲▲△△△】
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 王様だもん
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ここは白陽国
冷酷非情の狼陛下にはたった一人のお妃様がいるだけ。

たった一人のお妃さまは
厳しい国王陛下の御心をもお慰めすることができるたいそうお優しい方。

広い心の持ち主の彼女は
いろいろなものを拾うのだそうだ――。

最近では、隠密
それから、お姫様。

「夕鈴は、拾った自分の責任だといって…」
盃を傾けながら、国王は机に突っ伏した。

「ふーん」
浩大はグイグイと飲めるうちに酒とつまみを詰め込むので忙しい。

「広い心を持つそんな夕鈴が好きだ…
だが
私を構う時間が減ったりするのは
少々納得できない」

ブツブツと独り言が漏れる。

「へーへー」

隠密は適当に相槌をうつ。
お腹も一杯、酒もたらふく飲んだ。付き合いとはいえそろそろ潮時だ。

「私を差し置いて、一緒に湯につかるなど、正直行きすぎだと思う…」

「そうですねー、新婚さんなのにねー」

机に伏せていた彼は突如ムクリと起き上がった

「新婚の妻が
夫以外の別の人物と
二人っきりで湯につかるなど、
――普通ありえんだろう?」

ドン、と両手で机を叩く。
酒瓶やら盃がカチャカチャと揺れた。

「まあまあ、へーか。
女同士だし、
お客さんなんだし」

浩大は押しとどめるが、なにせ体格差が大きいこともあり、タガの外れた陛下の暴発を食い止めるのは酷く困難だった。
(…だめだ、なんか目が座ってる)

毒にも酒にも耐性の強い彼。
普段酔っ払った醜態など見せることはほとんどないくせに…。

「女であろうと客人であろうと関係ない!
なぜわが妃が、他人と一緒に湯に?」

「へーへー」

「あのように、親密に――!」

「へーへー。
…親密って、どしてわかるの?」

「この目で見たとも!」

「ほーほー。
どこから?」

「専用設備」

「設備?」

「専用の湯殿にはそれなりに専用の用途と設備がだな」

「つまり、覗いたって?」

「王様だもん」
どや顔。

「どこどこ? おいらも覗ける?」
浩大も目を輝かせる。

「ばかもの。国王専用だ」

「ふーん、残念(苦笑)。
で、朱音姫はどんな?」

「目標はあくまで、ゆーりん」
プイッとそっぽを向いた。

(まあた、愛妻家ぶっっちゃって~)

(…こんな陛下も珍しー
笑えるけど正直もう限界ダヨな)

ずいぶん長い時間こんな陛下に付き合わされた浩大。
最初はおとなしく聞き役に回ってこらえていたが、何度もグルぐる巻き戻される愚痴には辟易としていた。

「そんなに悔しいんだったら
今から一緒に入ってくれば?」

「『もう寝るから』と、さっきフラれた」

「…。
あ、じゃあ。一緒に寝れば」

「それも
『いま姫から目が離せないからダメ』だと断られた」

「じゃあ3人で寝れば? 
ヘーカ、王様だもん。
そういうのもありじゃん?」

「え?」

「ほら、さ。
『三人で寝よ』って軽~く言ってみたら?」

「!」

「そもそも後宮全部がへーかのものでしょ?
王様が、なに締め出されてんのさ!
遠慮することないって!」

さんざん焚き付け、
陛下の顔色が変わるのを見て楽しんだ浩大。
だが、
ベロンベロンに酔っぱらった陛下が
いきなりガタガタと立ち上がったのには驚いた。

「まさか、行く気?」
こんどは浩大がポカンとする番。

「…」
鼻息荒く、小さくうなづく。

(目ぇマジじゃん、戦場の鬼神モード
…っ怖~!!)
浩大の涙がちょちょ切れる。

「いや、落ちついて。
へーか、今の冗談だって!」

「――そういうのも、あり」

「いや、ナイでしょ、ナシでしょ?
あのお妃ちゃんには冗談通じないと思うよ?
あー
へーか
ちょっと…

…あーもう。
――聞いてないし!」

ズシンズシンと足音を響かせて
強気になった国王は勇ましく後宮へと渡って行ったのだ。

しばし後

ものすごい叫び声が聞こえ
がったんがったんしたあげく…


叩き出された折、顔を直撃した妃の枕を抱きしめ
国王は寂しく王宮に戻ってくるのであった。

めでたし、めでたし。

*


2 thoughts on “SS 王様だもん

  1. 覗いたんだぁ。目標は夕鈴って、どんだけ~。さぁ、これを浩大は夕鈴にばらすか?そこまで悪人では無いか?酒が飲めなくなったら困るしね。李順さんなら言いそうかなぁ。
    図体の大きいお子ちゃまはさぞかし扱いにくかったことでしょう。でも枕を抱きしめて寂しく帰るお子ちゃまはちょっとかわいそうかも。
    しらふの陛下による逆襲を期待しますけど、如何?

    • 専用設備、ですからねっ!!←
      湯を賜ったからには凝視じゃなくて凝脂を洗うなのです(謎
      シラフへーか、バイト妃時代のようにオロオロするのか、それとも遠慮なく開き直るのか、ちょっと覗いてみたいですねー(笑)
      今日はチョイとみこもかる信濃までお出かけです(*´▽`*)

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