もうすぐ1122の日。SSS つぼの対価

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もうすぐ11月22日
1122=いいふーふの日、ということで、某SNS内コミュでは例年お祭りが開かれます。

告知かねてフライングですー
いい夫婦の日(1122)向け

これを区切りに永久凍結となる「新・現代風・時代物な黎翔×夕鈴」コミュはこれが最後のお祭り。
ファイナルステージでのメンバー皆々様のご活躍、楽しみにしております。
管理人のさくらぱんさまお疲れ様でした。
寂しくなりますね…

【新婚】【甘】

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SSS つぼの対価
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ちりりんと爽やかな鈴の音がして振り返ると、そこには愛しい人の笑顔があった。

「へーか!お帰りなさいっ」
頬を染める美しい新妻。

さらさらと衣擦れの音とともに近づき
両手を差し出す

ちら
夕鈴の目の端で何か違和感がよぎった。

部屋の隅で何かが揺れたような気がした彼女は
黎翔の手をすりぬけ
鬼のような形相で部屋の片隅へズカズカと歩を進めた

「そこっ!!」

「何ごとか」
最愛の妻を抱きしめそこなった男は、踵をかえし夕鈴の方を振り返る。

「また老師ったらツボの中に潜んでっ!!」

プンプンと怒って夕鈴は部屋の隅を指さした。

そぉっと小さな頭がツボの中から現れる。

「ふぉっふぉっふぉ、ばれてしもうたか」

「ばれたかじゃありませんっ!」
夕鈴は憤慨して真っ赤になって拳を握り締めた。

「ここで何をしておる、老人!」

「だーって、お二人が仲良くしてるか把握するのだって、後宮管理人のお仕事じゃもーん。
早くお二人のお世継ぎの顔が見たくて、わしゃもー気になって気になって」

「そ、そんなのプライバシーの侵害ですっ!」

「公人たる王と妃に、ぷりぷりばしーなんちゅーもんは…」

うふぉ…と老子がむせたときには
夕鈴のてのひらがツボに命中していた。

ガチャーン!

スゴイ音がして、ツボが割れた。

老子は素早い身ごなしで飛び散る破片を避け
「こりゃいかん、わしゃ用事を思いだした! では陛下、これにて失礼いたしますじゃ!」
と言いながら、すたこらさっさと逃げ出した。

夕鈴は半ば呆然と老子を見送り
そして見事に割れたツボを見てハッと青ざめた。

「…わ、わたし、ちょっと押しただけなのに…
―また王宮の備品を…」

ツノを生やしたメガネ鬼の怒り狂う様が目に浮かび
カタカタと青ざめる夕鈴。

黎翔は、そっと彼女の肩を優しく抱いた。

「気にしなくていいよ」

「そんなわけには――! べ、弁償しますっ」

「いいって」

弁償だなんて。何言ってるの、
君が無事ならツボなんていいのに

黎翔がたしなめても、
夕鈴は頑なに首を振った。

「よくありませんっ!」

泣きそうな彼女を、黎翔は強く抱きしめた。

「――夕鈴」
彼は力を緩めない。

「はい?」
黎翔の胸に深く顔を埋める格好となり
いまにも窒息しそうに目を白黒させていた夕鈴は
必死の思いで顔をあげ夫を見つめた。

彼の瞳は優しかった

「以前、ある女の子が、ツボを割りました」

「!」
夕鈴は一瞬、赤面した。

「その子は、ぼくの大事なお嫁さんになりました」

「…それって 
あ ――ん」

静かに唇を重ねられ

「あのとき夕鈴がツボを割ってくれなかったら
君は今ここに居ないかもしれない。
――そうだよね?」

「… は、はい」
夕鈴は甘い余韻をホッと小さな吐息にかえた。

「だからね。
ツボが割れることは、ぼくにとっては吉兆なんだ」

「――え?」

「ツボが割れたから
今日はまた
ぼくにとって大切なものができそうな気がするな―――」

そういって黎翔は妖艶にニッコリ笑い
そのまま彼の妻の両手を握り締め、引き寄せた。

・ ・ ・

それから月日は流れ

陛下は玉のような赤ちゃんを抱いた妃を傍らに満面の笑みを浮かべた。

その日、白陽国では全国民でツボを割って盛大に祝福したそうな。

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