[日記] 目処たたず


こんばんは… 
いつもご訪問くださりありがとうございます。

更新するつもりでしたが
突然のマシントラブルにより
暫く復旧に時間がかかりそうな雲行きです。

復旧の目処ですか? (*´∇`;);;!!

…アハハうふふ(;゚∇゚)
たっておりませんのよ

とりあえず今日は傷口に塩を塗り込んで(?)寝ます…

おやすみなさいませ…
orz

*

シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-6


明日は本誌10月号がたぶん早売り、そして大阪ではイベントですね。イベント行かれる方はどうか楽しんでいらしてください(*´ω`*)

残念ながら明日は一日お仕事で拘束されるので
夜にゲット予定の本誌を楽しみに頑張ります。

[ご連絡] (すみません、関係ない方はスルーしてください) 

とらさんに委託していた
『現パラアンソロジー』が売切れてしまっていたようですみません。
追加委託の運びになり、今日発送しました
また近日中、受付再開すると思います。

『短編集(1)』の取り寄せ受付締切日は08/25です。
『てすさびの…』もですが、早めにご注文いただいた皆様、長らく御待たせしてしまってすみません。
(手順としては①取り寄せ期間が終了してから、とらさんからサークルに確定した「数」の通知が来て、②サークルからとらさんに納品して、③とらさんから注文主様にお届け、という運びになると思います)。
『取り寄せ』のは手順が少々複雑で分かりにくくて申し訳ありませんが、ご発送まで今しばらくお待ちください。

———-

現パラアンソロジー「現パラWORLD」に収録している
「シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね」
の続編です。

【現パラ】

* * * * * * * * * *
シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-6
* * * * * * * * * *

私の名前は汀夕鈴、17歳。

ひょんなことからドラマの相手役として抜擢されて
「研修」という名目で相手役のへーかの住まいの別棟、人呼んで「後宮」に一室を与えられ、別世界のような暮らしをしている。

うっかり借金を背負ってしまい、仕方がなく返済のために合間に後宮の立ち入り禁止区域の掃除婦バイトもしている。
も、というが、正直力を入れているのは掃除婦バイトの方。

というのも、
役作りといったって陛下は時々しか現れないし
台本は陛下に捨てられてしまったし
…正直、努力すべき方向をどこに定めたらよいのか見当がつかないというのもある。

そこで、思い切って、今晩こそ、そのあたり陛下に尋ねてみようと思う。

* * * * * * * * * *

人払いを済ませた彼は無邪気な笑顔を浮かべている。

「へーか」

「ん?」

「ちょっとお尋ねしたいんですが」

「なに?」

いつのまにか、当たり前のように、膝の上に抱き寄せられている。

近すぎる距離を少しでも広げられないか思わず必死に彼の胸に両手を突っぱねている自分…。

「君は何か、怒っているのか?」

「いえっ!」

「では、何故そのように君はふくれっ面をするのだ」

「お、お、怒ってなんかいませんっ!
もともと下ぶくれなんですよーだっ!
それに、へーかが急にお膝の上に座らせるから――」

「これは役柄解釈上、夫婦演技向上ために」

「――うっ」

そういわれると、辛い。
後宮と呼ばれる研修所に来たのも、もともと演技力向上を目的とした研修のためであり、撮影までに身に着けなければいけない素養を贅沢な環境で徹底的に磨いてくださっている…のは分かるけど。

陛下はとにかく世界屈指の演技力の持ち主なものだから
どこまで本気で、どこまで演技なのか
ちっともわからない…。

ドキドキさせられて、損してるのは私じゃないですか!

(冷静に、冷静に――
相手は役者。感情があろうとなかろうと、こんなことへっちゃらなんだから。
私だってプロ妃目指してるんだから…くう、ここは…!)

頭を冷やすべし。

「その。役柄の解釈と…バイトについてなんですが」

「いろいろお稽古のほう、頑張ってるそうだね」

嬉しそうに陛下が微笑んだ。

…あんなに忙しそうなのに…
私のことを気にしてくださってる?
ならそれはそれで嬉しい、けど…。

「私、もう少しバイトの方入れてほしいんですが」

「バイト…? 掃除の?」

「はい」

「どうして? 何か不自由してるとか
…それとも、何かお金がいるの?
だったらもっとお給料出すように、李順に――」

「やめてください。
お金は――もちろんそうですが
借金返済にどれくらいかかるのやら…
でもそれは自業自得ですし、
それに、お金のことだけではありません」

「じゃあ、何か気になることでも?
…愛しい君が気になっているというのなら
何でも言うがよい」

…背中がゾクっと冷えた。

なんでそこ、急に狼陛下?
――と混乱していると

やおら頭を大きな掌で掻き寄せられて
そのあと頭上からチュっと音がした。

今、まさか、
髪に…口づけされ…た?

カァっと思わず赤らんでしまった。

「…なっ な ――」

「君が困っているのなら
なんでも話を聴こう――」

「そ、そうじゃなくて
困ってるんじゃなくて…」

思わずジタバタする私を、彼は優しく抱きしめた。

だから、どうして抱きしめる―!?
逆にパニックになりそうな私の背中を優しくさすられて
者も言えない状態に陥った。

私はなんとかして話を進めないといけない。

「でっ、…でも、困ってるのかもしれません」

「困ってるなら僕が力になる」

「だから!
それがやりすぎなんですってば!
ちょっと離れてください――っ!!」

強引に押し戻し、真っ赤になった顔で
ぜいぜいと肩で息をした。

彼は眉をㇵの字にして、ちょっと寂しそうにハハハと笑った。

むすっとした顔で見つめ返すと
ショボーンと耳を垂らして悲しそうな顔をする。

ずるい
ヘーカのそんな顔。見たくないじゃないですか…

思わず手を差し伸べて頬に触れた。
「ごっ、ごめんっなさいっ!
わっ、わたしっつ
こういうスキンシップって慣れなくて――」

「うん、僕こそ
ごめん。」

頬に触れた手を握り返される。
イヤ、じゃなから、振りほどけない。

振りほどかないことに彼は満足を示し、私との距離を保ったまま手を握った。

触れる手が、暖かい。
へーかは、優しい。

私は落ち着いて、話を戻した。

「私――具体的に
何をしたらいいんでしょう」

「…え?」

「役柄解釈っていっても、せっかく各方面の素晴らしい先生方をひっきりなしに呼んでいただいても、ガサツな私にはそれに見合うような上達もしないし…
正直、すごい先生たちに払う講習料が勿体ないっていうか」

「君の身につくものであれば
勿体なくなんか――」

「いえ。
才能のある方には有難い教授でしょうが…
私では――豚に真珠、猫に小判っていうか」

「教え方が悪いというのなら
奴らの首を切る」

陛下は、ゾッと背中が凍るような表情を見せた。
私は思わず真っ青になって、一瞬二の句が継げなかったほど
…怖かった。

「そっ…そんなことありませんっ
止めてくださいっ!!」

必死で彼を押しとどめた。

「じゃあ、彼らには問題はないと?」

「ありませんってば!
問題があるとすれば私の方で――」

「そんな」

「そんなこと、あるんです!」
私はフルフルと首を振った。

だって。

お茶の作法の時、とんでもないことがおきて
お茶を急須ごとひっくり返したこととか。

舞のお師匠には
ヒキガエルがノタノタ這いずりまわってるかと思ったとか言わたこととか。

さんざんな評価しか受けていない。

そのうえ、厳しい李順さんには
どんどん試験をされて、厭味ったらしくため息ばかり目の前でつかれて、いくらタフな私といってもどんどん落ち込んでしまうばかり。

「次の試験がダメだったら、
落第してしまうかもしれません。
…ここで中途半端なことしているのなら
それならふつーに高校を卒業したいっていうか。
明玉たちと一緒に卒業に出たいな、って…」

高校三年生はそろそろ自由投稿になっているので
出席数とは無関係なのだけれども
それでも現状、こんなふうにコスプレ(?)をして、映画の世界の中そのままのような暮らしの中には「学校」は組み込まれておらず、ここの建物と後宮に与えられた部屋と、老子の部屋と、それ以外は自由に出入りすることもできなかった。

「君が嫌なら――」
…そこで陛下は言葉を区切った。

「嫌じゃありませんよ
もちろん、借金を作ってしまったのは自分だから、その分は働いて返すつもりですよ。
けど、高校生活もあとしばらくかと思えてくると、やり残したことがあるような気がして仕方がないんです」

モゴモゴと言い訳めいたことをつい言ってしまった。

可愛い青慎はどうしているだろうか。
家のことほとんど手を出さないお父さんと二人で不自由していないしら。

学校の友達たちは、元気かしら…。

「…つまり。
ここから…出てゆきたいの?」

陛下は顔を曇らせて寂しそうに尋ねた。

「いえ、そういうことではなくて」

挙動不審のようにそわそわと顔を背けた。
そういうわけじゃないけど
そういうわけなのかもしれない…

高校生活をなげうってもここにきた理由は、
とにかく陛下の役に立ちたい、と思ったから。

なのに
今の私じゃあ自信が持てない。

だから――。

「出てゆきたいわけじゃないなら
よかった」
目の前でホッとされて
きゅんと胸が痛んだ。

「違う。
違うんですけど…

でも――ちゃんと仕事させてほしいです。
台本は見ちゃダメってヘーカおっしゃるし
正直、ここで私は何のためにいて
何を毎日の目標に頑張ったらよいのか
やりがいが見えないっていうか。
何に努力目標を置いたら良いのか
ちょっとわからなくなってしまったんです」
思わず目を伏せた。

「君は君らしく
僕のために笑っていてくれればいいのに…」

陛下がポツリと言った。

その声はあまりにも真に迫っていて
私の心を直接穿つように響いたものだから
何故だから私は思わず赤面してしまったのだ

「…」
モジモジする私を彼は抱きしめて

「…分かった。
では君の努力目標となるべく
仕事を設定したらよいんだね?」

「――え? あ、――はい。」

「じゃあ、さっそく
三日後。
関係者のお披露目に出てもらうとするか。
せいぜい着飾って狼陛下の妃らしく
努めてくれ」

「――はぁ?」

「夫婦仲の良いところろを思いッきり見せつけて
イチャイチャしようね――」

「えええええ?」

どこまで本気か冗談かわからないまま
私は突然お披露目の席に出ることになって――。

*

[日記] ただの日記です


こんばんはー
眠いです。
お盆明けで急ぎのががががっと襲いくる恐怖
体のスペックが追い付いておりませんー

人間も劣化部品の交換ができればよいのに(笑)

ついでに
メモリーもハードもごそっと増強して

新ネタ創出ソフトとか、瞬間映像言語化システム夢物語君とか、お絵かき自動メーカーとか、便利な装備をインストールすれば、バンバン日記が自動更新されるかも…?
便利な脳ミソ欲しいですねー

あと
どんなに歩いても疲れない足腰もよいですね

万が一、へーかがそんな改造を受けちゃったら
周囲の方々にとり
天災レベルで大変なことになりそうです…

「一晩中(中略)強靭な足腰」というフレーズで
けしからん妄想を掻き立てられちゃった貴女におおくりする
…次回作「バイオニック陛下」
ご期待… ──なさいませんよう!!

単なる冗談です

では
おやすみなさいませ~

シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-5


お盆も終わって、急ぎの仕事がバンバン回ってきます…。
お盆疲れがどっと回ってこないよう
みなさまもどうかお体お大事になさってください。

さて。

現パラアンソロジー「現パラWORLD」に収録している
「シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね」
の続編です。

ずいぶん間が空いてしまってすみませんm(_ _)m

【現パラ】

* * * * * * * * * *
シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-5
* * * * * * * * * *

私の名前は汀夕鈴、17歳。

ひょんなことからドラマの相手役として抜擢された…けど
なんのとりえもない、地味で堅実な女子高生だ。

「研修」という名目で(まるで騙されるように)呼び出され
へーかの住まいの別棟、人呼んで「後宮」とよばれる役者養成所の一室に寝泊りをしている傍ら、うっかりヘマして作ってしまった借金(おそらく膨大な額)の返済のため、ときどき研修所内の掃除婦バイトをしている毎日だ。

研修というのはなにかというと、基本的には役柄通りの暮らしをふつーにすることだ。

もちろん、架空の国の架空の時代のお話だから、原作に沿った暮らしといっても細かいところは李順さんの解釈にゆだねられている感じ。

「李順さん」という人は、たぶんヘーカのマネジャーさんみたいな人で、
今回ドラマに出演するにあたり所属するプロダクションでは、私の上司にあたる人らしい。

…らしい、というのは
わたしがうっかりサインしたときのことをよく理解していなかったこともあるけど

主な原因としては
私をスカウトした張本人のヘーカのせいだと思う。

ヘーカに尋ねると
「いいから、そんなこと知らなくても悪いようにしないから。今はただ、私のためにだけ笑っていておくれ」とか「愛しい妃に悩ましい顔は似合わない」とか、歯の浮くような甘い言葉で私を混乱させるだけで、あまり具体的なことを説明してくださらないからだ。

すっごく頭の良いヒトだけど
頓珍漢というか…何を考えているかわからない。

めげずにへーかにその二の質問をしようものなら、
「夕鈴、かわいいっ♪」とか頓珍漢なことを言いだして、私のことを抱きしめたり、腰に手を回して膝の上にいざなったり…とにかく、もう、想定外に恥ずかしいことばっかり起きる。

だから、ちっとも本当に知りたいことの詳細が私には見えてこない。

へーかがダメなら李順さん。
でも、李順さんは几帳面というか真面目すぎるというか…とにかく細かい。
この間も「徹底的な役作り」といってすべて持ち物を取り上げられて、役柄になりきったものだけしか使わせてくれない。

古風な衣裳は重いし暑いしきゅうくつだし(下着もすーすーだし)。

だけど、徹底的になりきることで見えてくることも分かってきた。

今はそんな生活をしながら、与えられた課題をこなし、いろいろな資料を読みこみ、たしなみや立居振舞、様々なお稽古事の訓練を受けている毎日。
それぞれの筋の大家とよばれる専門家(肩書をきいて驚いてしまった)がとっかえひっかえ、ひっきりなしに現れるので、正直驚いた。

そんななかでも
一番の著名人といえば、やはりへーかで…。

売れっ子役者のヘーカは毎日私のとこに顔を出してくれるわけではなくて
こんなに傍に住んでいながら
へーかの姿を垣間見ることのできる条件はすごく少ないことに気づいた時
李順さんに「へーかはいつお戻りなんですか?」と尋ねれば

「あの人をなんだと思ってるのですか?
世界的に認められた著名な俳優、その人ですよ?」
とたしなめられた。

最近になってようやくわかった。

遠くから見るヘーカは
いつも大勢の大人に囲まれていた。
現れるとピンと空気がはりつめて

――怖かった。

(それは、どんな服装をして、どんな役柄になりきっていたとしても)

でも、どんなに遠くでも
きまって、彼は私を見つけ、
それから一瞬だけ表情を和らげて
私にだけ微笑んでくれた

まるで、彼の特別な女(ヒト)であるかのように…。

それが
彼の言う『徹底的な役作り』の努力の賜物であるのなら
私はたんなるお金で雇われたバイトでしかない。

そう思うたびに、私の胸はちょっぴり痛みを覚えるのだった…。

生活は全て一新されて、ドラマの中に在る通りの古風な様式だったし
最近では身の回りの世話をしてくれる侍女の方たちまでみんななりきってまるでその時代の人たちみたいななり切り様。

ここに来た時は、おしゃれな紅茶とシフォンケーキでもてなされたものだけど
今はお茶も茶菓子もすべて中華風。
甘味料もなくて、自然な甘さで当時のレシピで料理人さんたちが作ったものばかりだという。

衣食住、とにかく何から何まで
タイムスリップをしたように、周りのものは整えられていた。

一番は、
陛下に素晴らしい作品を作り上げてほしいという
ここにいる人たちの気持ちだと思う。

私自身、何も知らずにここにきたけれど
こんなに良くしもらって
感謝する

けど
やっぱり
理不尽。(主に、李・不尽系な感じ)

李順さんはまだよい。

それよりなにより、
やっぱり
一番困った人は――ヘーカ。

私のシナリオは、彼に取り上げられた
(正確に言えば、取り上げられて池に捨てられた)

普通通りに暮らす中で、役に相応しい感情が生まれればよい、とへーかは言った。

衣裳をつけて役柄になりきったへーかは冷酷非情な「狼陛下」そのもので
ピンと張りつめた空気に思わず声をかけるのもはばかれるほど。

でも、私の中でのへーかは
下町のうどん屋の裏口にフラリとあらわれる
捨てられた小犬のような目をした人。

狼陛下と呼ばれる彼と
小犬のようなあの人は
まるで別人のような雰囲気をもつけれど
それは
李順さんや私だけ、ほんのごくわずかな人にだけ見せる彼の二面性で
世界からも期待される役者の彼にとって
人に知られたくないものだと聞けば
放っておけないのが人の情。

狼の鋭く人を見下す冷たい視線にさらされて、身動き一つままならない私に
一瞬で子供のように無邪気に変貌した彼は
あっというまにパーソナルスペースの領域にスルリと滑り込んで
甘い甘いしぐさと言葉で私を籠絡する。

会えないときには寂しく思い
もし会えた時はどう向きあえばよいのか迷いながら

実際に会ってしまえば
もうどうでもよいほど彼に翻弄されるばかり…。

* * * * * * *

掃除バイトを終え、次の習い事までの少しできた合間に、気晴らしに庭に出た。

王宮とよばれるへーかの住まいである本宅と、俳優養成所である別名後宮と呼ばれる離れの建物の間には、美しい庭があった。

花を摘みたい。

もし、今日。陛下が部屋に寄ってくださるのなら
ささやかだけど、新しいお花でもてなしたかった。

「どの花がいいかしら」

最初は慣れずに苦労した袖や裾のあしらいもずいぶん上達した気がする。
慣れてみれば、きつい帯もしゃんと背筋がのびて気持ちが良い。
薄絹の袖を枝にひっかけないよう慎重に指を伸ばした。

触れる緑の感触が心地よい。

美しい花々をみながら、香りをたしかめ、綻びかけた花びらを指で触れ、どんな花がお気に召すだろうかと考えるのは結構楽しかった。

背中から急に大股で近づく人の気配がした。

「へーか?」
と気が付いて振り返ったとたんに
ガバッと腰をさらわれて抱き上げられた。

目の前に、端正なお顔があった。

「夕鈴。このような処で君にあえるとは」

狼陛下の姿勢を崩さない。
後ろには数名の見知らぬ人たちがいた。

恐らく業界の人だ。
だってあんなシャツの柄とか、サングラスとか、髪型とか。
マトモナ人にはあり得ない、ギョーカイ人特有のオーラがあったから…。

へーかはその人たちを何ら顧みることなく待たせ
私に構った。

「愛しい妃よ、君は何をしていたのだ」
といちいちやるおとなすことがイチャイチャしていて甘酸っぱい。

いたたまれない私は抱き上げられたまま目を伏せた。

「へ、へーか。お帰りなさいませ」

おずおずといえば
彼はにっこりを笑い返してくれた。

クラクラするほどの笑顔。
へーか。
それ。
反則です――

パンツ履かないのには少しずつ慣れてきたけど
やっぱり腰とか手を回されるのは
すごくすごくスゴーク気恥ずかしい。

役柄だって
どうして私が演じることになったのかさっぱりわからない。

ひとたびヘーカが相手役を募集すれば
それこそ千人単位で人が殺到すると聞いた。

佩いて捨てるほどいる
バイト妃役に
どうしてこの人はこんな無駄な投資をするんだろう。

私は
引け目に感じているのかしら。

甘い甘いヘーカ

息がかかるほどの至近距離で見つめられ

頬を指先でたどられ

その端正な唇から
あふれる愛の言葉は

すえて演技の練習のためと知りながら
まるで本当のことのようにドキドキした。

こんなにヘーカが真剣で
私に対しても妥協なく演技してくれていることに
ちゃんと相手を務め切れていない自分が寂しかった。

「所詮、相手役って言っても
バイト妃役。…誰でもよかったのよ」
とネガティブで黒い気持ちが生み出されて
――苦しかった。

狼と小犬の二面性――それは理解したとしましょう。
だけど
彼の真意は全然見えなかった。

「小犬のような彼が見捨てられない」

いつしか「見ていたい」相手になっていて

彼に関して、私は欲張りになるばっかりで、苦しい。

「愛しの妃と
こうしてここで会えるとは嬉しい限りだ。
きみの気持ちも同じではないか?」
と呟かれ

恥ずかしくて
顔が真っ赤になってしまうのに
――嬉しくて。

袖で頬を隠しながら
「はい…
嬉しゅう――ございます」と
答えてしまうのだった。

*

[日記] 夏コミ御礼 & SSうつす色


久しぶりの雨、ときに土砂降り。
帰省から戻ればさっそく今日からお仕事です

ご無沙汰しておりました

みなさま、よいお盆をお過ごしでしたでしょうか

8月15日の夏コミ(コミックマーケット88)でサークルスペースまで足をお運びくださった皆々様、私は現地に行けず不義理をしてしまいましたのに、本当にありがとうございました。委託先のとらさんで早々にご予約いただきました貴女に、感謝を申し上げます。
当日は合同サークルの黄昏博物館の皆様や売り子のY様に本当に何からなにまでお世話になりました。あっちの方に足を向けて寝られません。

撤収の荷物は今日受け取り、開封時に現地の空気をスハスハ美味しくいただきました。
サプライズは可愛い切り絵イラスト入りのチロル差し入れくださったOさま、ありがとうございました。大好きなあの絵がここに…!!と感動的でした。すっごく嬉しいです。

イベント活動はまた一つの形で
サイトの方にもちょこちょこ足を運んでくださる方がいらして
本当にありがたいなぁと思います。

さまざまなバランスでこのところ「二次にどっぷり」は難しくなってきておりますが
ときどき何かの折に「頑張ってね」と声(コメ)かけていただけて
その励ましで支えていただいている感じです。

コメントいただけると、本当に嬉しいです。
ありがとうございます。


とりとめもない日記

「好きなジャンル?」

6月にFC2ブログから、こちらのサイトへお引越ししてから
ブログの連載では現パラものが続いていますし
3月のプチオンリーで「現パラアンソロジー」もとりまとめたので
現パラづいておりますが
そうですね、一番好きなのは、「王道かなー?」です
(でも結構なんでもいけます)

比較的最近からご訪問いただく方が
「本誌沿いも、書くんですね~」みたいに思われるかもしれないので
一応、そんな自己紹介も細々してみたりします。

最近何かと活動時間に制限があり二の次の「ゆとり」でやっていると結果的にブログ放置気味になるため、一つの連載が終わるのに延々何か月もかかるから…カラーが統一されちゃうだけです

糖度はご期待いただけなくてごめんなさい。
基本オープンなネット上ですので、青少年健全育成を願いつつブログは運営しております。
(単に色気がないだけ)

これからは枯れたセンチメンタル悲恋ものをバリバリ書いてゆくつもり――とかは別に予定ありません。冗談です

白か赤か錦かラか、なんて話だとうっかり筆が滑ったりするのが
おりざ、恐ろしい子。

こちらの方面は多分某(F)む△っさまが飛びつくから
今度リレー小説にしましょう。←?

散漫なSSをお一つ。

* * * * * * *
うつす色
* * * * * * *

夕鈴は「色気がない」と言われて久しい。

というよりも、一方的に「色気がない」と洗脳されていただけかもしれない。

デリカシーがない幼なじみのズケズケとした言葉により、そう思い込まされているだけと周りの人間の目には映っている。

口が悪い幼なじみ、几鍔。
彼は下町の大きな商店の跡取り息子で、地域の中でも顔がきき、誰もが一目置く存在だったから、彼が夕鈴に対し「嫁に行き遅れ」と執拗にカラかうのは、人に手を出されたくない裏返し、つまりは牽制だと皆思っていた。

几鍔にすれば「自分のシマのガキは、自分の目が黒いうちは無体はさせねえ」と、自分が常に目を光らせていないといけないという(頑なな)責任感からそう思いこんでいたふしもある。だが彼本人が言語化未満の胸の奥の感情をきちんと把握していたのかどうかは定かではない。

本人は意識していなかったが、夕鈴は可愛かった。
整った美人ではない、だが愛嬌があり、華があった。
くるくると変わる表情は愛くるしく、人目を引きつけた。

几鍔がそんな彼女を大事にしていることは、彼が彼女に対しぶっきら棒な態度をとればとるほど周囲にはあからさまだった。
そういう態度を彼が思わずとってしまうほど彼女は可愛いかったともいえる。

一方、夕鈴はといえば。
基本的に人が良い。
だから人に言われたことは結構素直に信じてしまうところがあった。
几鍔に対し反発し威勢よく振る舞っても、繰り返し言われ続けた言葉がうっかり定着してしまう。だから当の本人が「自分は可愛げがない女」だと思いこんでいたし、そこから派生して「自分には色気がない」、さらには「人から恋愛感情を抱かれる対象として見られていない」と根っから信じてしまっている節があった。

――自分には色気がない
いくら着飾っても、かわいくない
男性の恋愛対象には入らない――

彼女はそう思い込んでいた

それはすなわち
几鍔が17年間かけて教育した
「男(むし)除けの牙城」、あるいは「貞操の鎧」?

* * * * * * *

さて。
ここに運命の男(ひと)が一人。

彼、黎翔はある国の王さまで
それも冷酷非情と誰からも恐れられる存在だった。

彼はまた「戦場の鬼神」の二つ名をもつほどの武将であり
即位前から数々の敵の陣に切り込み、数多くの戦果をあげてきた。

その、戦略の才長けた彼が、攻めあぐねるほどの難城。

彼女のあまりのかたくなさに彼が根負けし「貞淑な妻の鑑」と感嘆すれば
冷静で口が悪い隠密に「ただの他人行儀じゃね」と笑いとばされ

…取りつく島がないとはまさにこのことだ

彼は
いつの間にか彼女が自分の中で大きくなりすぎて
好きすぎて手放せないほどの存在になっていたのに

「もしかして
自分は彼女に愛されていないんではないか」と
いつも不安に思っていた。

手放して
苦しんで
それでも離れられなくて。

――見返りは、いらない

彼は思い切って告げた。

「ただ言わせて」

おねがい。
聞いてくれ

「君を愛している」

わたしも、と
叫ぶように返事があって

泣きじゃくる彼女を捕まえた。

唇にさした色を
自らうつし
彼女の中にある氷の壁を
熱で溶かす

私から君へ、うつる色
うなされる熱

傍にいてくれて
ありがとう。

*

[お知らせ] 登録ができない方へ


いつもご訪問ありがとうございます。

当サイトでは【コメントの入力】【限定公開日記の閲覧】をされる場合はサイトユーザー登録をお願いしております。

当サイトは「織座舎」のホームページ内にオープンソースの「ブログシステム(ブログプラットフォーム)」ソフトウエアを組み込んで「陛下の花園~二の宮~」を運用している構成で、使用しているソース(ソフト)が元々英語で開発されているということから、ご訪問くださった皆様が普段お使いの機器やブラウザとうまくマッチしないケースもあるようです。

【○機器】パソコン、スマートフォン、タブレット
【○ブラウザ】IE、google clome
…の条件では、比較的安定して表示されるようですが、

【△機器】ガラケーではうまく表示されない、ユーザー登録ができなかったりコメントが書き込めない、
【△ブラウザ】ファイアーフォックスではレイアウト崩れが起きる
…などの症状がみられるようなことも伺っております。

専門家ではない管理人のスキルでは解決ができないこともあり、お詫び申し上げます。


ユーザー登録の方法についてはサイトユーザー登録に関するページをご覧ください。

パソコン、スマホ、タブレットをお使いの方で、ユーザー登録がうまくいかない場合、どうしたらよいか(一部)ご紹介いたします。

1)ユーザー登録の際、IDに英数字【以外】を用いているケース
 例)×  織座舎01   …… 漢字を用いてエラーになる
   ○  Olyzasya01 … 英数字なのでOK

IDはログインの際に必要なもので、一般表示される「名前」とは別です。
※ふだん表示される「名前」には、漢字、ひらがな等も用いることができます。

2)メールが返信が届かず、アカウントの有効化が出来ない場合
登録が完了すると、登録したメールアドレス宛に自動的にメールが送信され、そこに表示されているURLをクリックするとアカウントが有効となり、ログインすることができるようになります。
自動返信されるメールが届かない場合、お使いのサーバーや機器の迷惑メールフィルター設定等で、自動返信メールがブロックされているケースが有ります。お使いのメールサーバー、機器の設定の方をご確認ください。

3)何が問題か良く分からない場合
お問い合わせフォームからお知らせいただければ、当方で手動入力で登録させていただくことも可能です。
※コメント欄に、(1)ご希望のID(英数字) (2)ハンドルネーム(英数記号かな漢字OK)をお書き添えの上、お知らせください。


詳しくはサイトユーザー登録に関するページもご参照いただければ幸いです。

*

[業務連絡]8/15夏コミお品書き他


みなさまお元気でお過ごしでしょうか
こんな僻地のサイトを覗いてくださり本当にありがとうございます。

強制終了でお盆休みに突入しました
帰省準備で買い出しの一日です。

以下、業務連絡で失礼いたします。
ご興味ない方はスルーしてください。

—–
【業務連絡】
—–
1)夏コミのお知らせ
2)夏コミのお品書き
3)とらさん委託書籍に関して
4)在庫情報のお知らせ
5)御礼
—–
沢山すみませんm(_ _)m


1)夏コミのお知らせ

コミックマーケット88
8/15土曜日(2日目)
黄昏博物館&織座舎 東サ09a

黄昏博物館さんと合同サークルで参加予定です。

夏コミ88

夏コミ88

(支部の方にも上げております、黄昏博物館さん制作サークルカット流用のお知らせ)

(おりざ当日不在で申し訳ありません)


2)夏コミのお品書き

<黄昏博物館>
■新刊■
・Passion♪

<織座舎>
■新刊■
・小犬ファミリー・青の庭 総集編 (¥1700)
□既刊□
・王の環 総集編(¥1600)
・短編集Ⅰ(¥1400)
・現パラアンソロジー(¥800)

(お詫び)
 ※今回現地へ行くことができません。売り子さんへの負担軽減のため無配類は用意しませんでした。いろいろごめんなさい。


3)とらさん委託書籍に関して

とらさんの注文のシステム上、複数の種類の本をご注文された場合にお届けが別になる場合があります。


a)在庫品…既刊の本で既にとらさんに納品済の本
 受付分から順次発送
 ・王の環
 ・現パラアンソロジー

b)新刊予約…8/15夏コミ発売日にあわせて順次ご発送されると思われる本
 ・小犬ファミリー・青の庭

c)取り寄せ販売…既定の期間内でご注文いただいた分を納品し、後日お届けになるシステムです。
 現在、7/19~8/25の間で受注を承っております。
 (8/26以降、数量確定後→当方より寅さんへ納品→注文主様にお届け予定)
【受付中】・短編集Ⅰ
【受付終了】・てすさびの 総集編
–(以上 8/12現在)–

 ※「てすさびの~」は、取り寄せ委託の申請を行った時点で夏コミに一部持ち出しする予定だったので、とらさんに預ける分が少部数でした。元々の数が少なく既に申込み数に達してしまい、現在受付されていません。すみませんでした。
次回の取り寄せの企画があれば、あと少々、委託できる予定です。残部僅かになっておりますが宜しければ今しばらくお待ちください。m(_ _)m

 ※ご心配おかけしてすみませんでした。


4)在庫情報のお知らせ
・過去の本など、在庫情報など大まかですが一覧できるページをつくりました。

 → 在庫情報のページ

 ご興味がありましたらご参考まで。
 (あくまでご参考程度となります。更新するタイミングにより行き違いがありましたらご容赦ください)


<お詫び>
・完売の本の増刷について、時々ご要望もいただきながら大変心苦しいのですが、予定がなく申し訳ありません。
(印刷屋さんの電子書籍として扱っていただいている本もあります。試し読みもご用意しておりますので良かったら覗いてください)

 電子書籍 e-STARBOOKS


<電子化していない本について>

・002「へーかとわたし」
 印刷所さんが違うところだったのでラインナップにありませんが、できればいずれ電子書籍化したいなとは思っています。

・A5002co01「あいつとおれ」(003)
イベント発行のコピー本です。(完売) 本文は「あいつとオレ WPストリーム」(電子書籍化済)に再録しています。

・A5007 現パラアンソロジー
 大勢の書き手さんによる合作本(アンソロジー)ため、織座舎としては電子書籍化する予定は現状ありません。
 紙媒体の本、まだありますので、よかったらお手に取って下さい(´ω`*)
 素晴らしい書き手さんによるお話し満載で、感動的な一冊です(宣伝はいってすみません)


5)御礼

 長々と業務連絡失礼いたしました。

 お互い忙しくとも 古株のみなさんもまったりとお互い生存確認したり、
 最近狼陛下の二次にはまったという方から励ましのメッセをいただいたりして
 すごく嬉しかったです。ちょっぴり元気が出ました

 暑さ寒さも彼岸まで。秋のお彼岸まであと40日チョイ。
 頑張って生き残りましょう

 どうか皆様
 充実したお盆をお過ごしください。

いつもありがとうございます。

*

シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-4


現パラアンソロジー「現パラWORLD」に収録している
「シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね」
の続編です。

ひょんなことからドラマ「狼陛下の花嫁」の花嫁役を演じることになってしまった汀夕鈴17歳。
うっかり大きな借金を抱えてしまい、狼陛下の「王宮」の後宮と呼ばれる研修所で、役作りの傍ら住み込みバイト志願をした夕鈴だが…

【現パラ】【お色気ギャグ少々】←?

* * * * * * * * * *
シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-4
* * * * * * * * * *

カツカツ足音が近づいたかとおもって振り向くと李順さんが顔を引き攣らせて立っていた。
緊張しながら挨拶をする。

「こんにちは、李順さん。
さっきの課題はなんとか終わりましたよ」

「それは結構。
――しかし、夕鈴殿。その格好は?」

眉をひそめた李順さんが
私をジロジロと見つめた。

「…ええと。あの、研修期間中のパジャマ替わりに持ってきたTシャツとハーフパンツです」

豪胆な太筆でフロント側に「不撓不屈」、バックに「闘魂3-2」と書かれたTシャツは、球技大会のときクラスお揃いで作ったものだ。

「…」
顔をしかめる李順さんを見れば、ダメ出しされているというのは分かった。

「…ダメ、でしたか?
動きやすいですし、
着心地もけっこう気に入ってるんですけど――」

李順はハァとため息をついた。

「貴女はここで何をすべきか
分かってるんですか?」

「あの、役作りのための研修中というのは重々承知しています。
でも借金は個人的な失態で背負った債務で、
その返済のための掃除バイト中に
お借りしている綺麗な衣裳を汚すわけには参りません」

「もうすぐクランクインというのに――貴女は全く…」
ブツブツと李順さんは口の中で長い呪詛をつぶやいていたが、はっきりとは聞き取れなかった。

「仕方がありません。
後宮掃除バイト娘の衣裳を用意しましょう。
あと、そのバケツと雑巾!」
ビシっと、青いプラスチックのバケツとミシン目の走る雑巾を指さした。

「それらも当時のものに改めていただきます。
バケツは木の桶に、雑巾は古着をほどいて自分で手縫いなさい!
後宮の中では小道具類も全て!
何から何まで当時と同じようにお願いしますよ」

「ひえええっ!?」
ワードローブには煌びやかな妃衣裳ばっかりだったし
ふ、古着って、どこにあるんですか?…とは聞けない。

「あなたが持ち込んだ荷物全て、私の方でお預かりいたしましょう」

「え?
ケータイもですか?」

「当たり前です!」

「でも、どうやって家族や友人に連絡を――」

父さんが昔使ってた古いガラケーのお下がりだけど
アドレス帳には3個しか宛先無いけど

――それでもJKとしては、無いと困る。

高校の方は就職先はプロダクションに決まったから
3年生はほぼ自由登校。特に問題はないとしても

青慎にショートメールを送れなくなっちゃうし
困った時の明玉頼みが命綱だったのに。

「安心なさい。必要があれば私が代理で行いましょう」

「! …でも」

李順さん経由じゃ意味ないじゃないですか…。

「役作りは徹底的に!!
それが陛下の思し召しです」

(ふ…不便。
主に、李順さんが)

かくして
持ち込んだ荷物は全て、何から何まで
着替えからケータイに至るまで
李順さんの預かりとなってしまった。

* * * * * * * * * *

その日の午後、久しぶりに陛下が顔を出した。

相変わらず突然現れて、
会うなり、大げさな仕草で私を抱き上げる。

「ぎゃっ!」

私は未だに慣れなくて、
(…特に今日は着替えから何からパンティまで全て没収されたばかりだったから…)

赤らむ頬を誤魔化したくて変な顔になってしまう。

ヘーカは私の頬をつついて尋ねた。

「私の妃は、なぜそのようにふくれっ面をしているのだ。
何か不満でもあるのか?」

「…いえ」
パンティを取られて腰布だけでスースーするともいえない。

確かに私は少々虫の居所が悪かった。

だって…。
あんまり李順さんが理不尽ばっかり言うから!

(パンツ、返して!! 
Tシャツ、返してっ!! 
ケータイ、返してえ~ッ!!!)

この叫びを、どこに吐き出せばよいのやら――。

「…李不尽だからです」

言っても仕方がないことだけど
…私は拗ねていた。

「李夫人?
――誰」

「いえ、李不尽!
李順さんってば――」

(漢字の違いが分かる女、汀夕鈴17歳
ウサギの耳はなぜ長い)

私が李順さんの言うネチネチとした理不尽のことを
『李不尽』と言いあらわしているということが分かった聡明な陛下は
少しトーンを落として同意した。

「…ああ、あいつのことは
気にすることは無い」

「でも」

「少しくらいネチっこくても
厭味ったらしくても…
何時まで経っても昔のことを蒸し返したとしても――」

陛下はフォローしてるの? それとも、していないの?

…私は思わずため息をついた。

「…けっこうです」

「お気に入りのクラスTシャツも、し、した…も、
ケータイも、何もかも――」

もにゅもにゅと歯切れ悪く、それでも
云わずにはおられない。

「Tシャツ? した何? ケータイ?」
陛下は耳をそばだて、聴取した内容を復唱する

「着心地が良くて気に入っていたのに。
無理やり李順さんがむしりとったんです」

「無理やり
むしり…とった?

ちょっと、待て。
何を
むしり――とった… と ?」

陛下の眼が、ギン、と光った。

「…まさか、
あいつ――ゆーりんを
無理やり脱がせた…というのか?」

あたりが急に薄昏くなり
オドロオドロシイ蛇縄バックのトグロが巻きはじめた。
遠雷のゴロゴロという音まで幻聴が…。

「…い、いえっ!!
それは言葉のあやで!」

「奴が 君を 脱がせたのか」

「いいえ、違います!
自分で脱ぎました!」

「脱いだ?!」

両肩をガッチリ掴まれ
ワサワサと揺すぶられる。

「い、いえっ!
李順さんの前ではなくっ!
自分一人で着替えました――!!」

…はぁはぁと上がった息も
深呼吸を挟んで沈静化した。

陛下も私も少し落ち着いたかのように見えた。

「すまない
取り乱した」

陛下は私をゆっくり長椅子の上に降ろしてくれた。

「私もごめんなさい。
役づくりを徹底的にするためにって話で
普段から使っていた私物を全てとりあげられちゃったのを
ちょっと愚痴っただけです」

「…クランクインが近づいてるから
やつも気が立ってるのだろう。
私は、おいおい慣れてくれればよいと言っているんだが…」

「そういうわけには参りません!
ギャラを戴く限り、ちゃんとお仕事させていただきます!」

「そうか」

落ち着いてヘーカは座り直した。
それから当たり前のように私の腰に手を回し、自分の膝に座り直させた。

(…ん?)

妙に、生暖かく…

いつも以上に
より肉薄する
陛下の手の感触――

その途端、
私は現代的な下履き(=パンティ)を履いていないことを思い出し

あまりの恥ずかしい状況に
私は真っ赤に沸いて、のけぞってしまった。

「~~~~っ!!!!!」

*


なんでこっちの方向にギャグが振れたのか
自分でも良く分かりません…(笑

[日記] こんばんは


少々立て込んでおりまして、続きが書けなくてすみません。

今日、印刷所さんから「小犬…」が届きました。

(いつもはだいたいイベント日当日に現物を手にしていたのですけど
今回はちょっと早めに印刷上がったみたいです)

わー、本 !←

すごく本っぽくなってる!!
(いまさらですが)

そして
ららでら9月号は8月10日発売ですね…
ああ、楽しみ…

はぁ、うっかり忙殺されていたら
週末は地域のお祭りではないですか。

道路が大変こみあっております

みなさまもお元気で――(´ω`*)

*

シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-3


現パラアンソロジー「現パラWORLD」に収録している
「シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね」
の続編です。

【現パラ】
ひょんなことからドラマ「狼陛下の花嫁」の花嫁役を演じることになってしまった汀夕鈴17歳。
狼陛下の後宮と呼ばれる研修所でいきなり粗相をしでかして…。

* * * * * * * * * *
シナリオ無きドラマは狼陛下の御手に委ね Dream編-3
* * * * * * * * * *

ガチャン… と派手な音がした

シーンと静まり返り
それから李順さんの悲鳴が聞こえて、
目の前のへーかの顔からはズルズルとクッションが滑り落ちた。

私はハッと現実引き戻された。

「せ…青磁のツボ?」
私は青ざめた。

「ああああ、透明感のある青緑色の磁器肌が無残な姿に…
夕鈴どのっ!
よりによって。
なにも、これを――」

割れた陶片を手に、ヘナヘナと崩れ落ちたメガネの人

「ごめんなさいッ!」

私は反射的に謝った。

壊したのは事実。
逃げも隠れもできない私は、腹をくくったのだけど

――でもこの時点、
まだ私は甘かった。

たまたま割ってしまった青磁の壺で
この先の私の運命が大きく変わるなど、思いもよらないことだった。

「…夕鈴どのぉ

その青磁の壺は
高かったんですよぉおおお?」

地の底からわき上がるような怨念がましい声が聞こえてきた。

…李順さんは背中にオドロオドロしいトグロを背負っている。

「李順。
たかが壺くらいのことで
ゆーりんを責めるでない」

ヘーカが私と李順さんの間に立った。

「たかが、ツボ?
――何をおっしゃいます!
陛下。
この壺は先祖伝来の由緒正しい…」

「ごめんなさいっ!
私が弁償しますっ!」

「――弁償?
…あなたが払うと?」

キラリ、と李順さんの眼が光った。

ようやく李順さんは落ちつきを取り戻し、立ち上がった。

迎えに来てくれたときのスーツ姿とは異なり、
私たちと同じような緑絹の異国の衣裳を身に着けている。

良く見ると、メガネのフレームもクラシックスタイルだということに気が付いた私は
思わず(さすが。世界観の作りこみようが徹底的ね)と感心してしまった。

…細かい

そう。
李順さんは大そう細かい人だったのだ。

「私、今丁度、何かバイトをさせていただいて
ここでの生活費に充てて欲しいと、陛下にお願いをしていたところだったんです」

「…ほう?」

李順さんは眼鏡をクッと指で押し上げて、眼を細めて私の方を睨んだ。

結構イタい出費かもしれない。
…けど女に二言はないわ!

「壊してしまったツボの分も、働いてお返しします!」

(いくら高価なものだといっても、ツボはツボでしょ。
一生懸命働けば、なんとかなるわよ)と
世間知らずの私はタカをくくっていたのだった。

「…働くと?」

「はい、掃除婦でも。
私の出来ることなら、なんでもいたしますから――」

「本当に?」

陛下が嬉しそうに横から割り込んできた。

「はいっ!」

私はやけくそで元気に答えた。

「約束だよー?」

ニコニコしている陛下を見ながら、李順さんは頭を押さえてため息を一つついた。

「――(はぁ…)。
陛下がそうおっしゃるのなら仕方がありません
その様に取り計らいましょう…
しかし
夕鈴殿っ
このツボは、ほんとの本当に、掛け値なしに、いいツボだったんですよ?
国宝級の骨董品で、二度と手に入らない銘品を…それをあなたは――」

「…え?
こくほうきゅう?」

私は青ざめた。

どうやらものすごい借金を背負ってしまったみたい。

借金で傷心の私の心をさらにえぐりこむように
ヘーカはニコニコと(冗談なのか本気なのか分からないけど)
「一生、ここに居るってことだね」と恐ろしいことを口にされ
李順さんからはネチネチとお説教が一週間以上続いた…

* * * * * * * * * *

一週間はあっというまに経った。

毎日侍女さんから手厚い待遇を受け
私は抗いながらも、侍女さんに世話してもらうことに慣れはじめた。

心なしか肌はスベスベ、髪はツヤツヤしてきた。
(慣れって、怖い――)

陛下は仕事が忙しく、会えない日もあったけれども
私は私で忙しかった。

もちろん、毎日李順さんのお説教は続いていた。

衣裳の裾さばきや立ち居振る舞いから始まり
妃としての教養全般、様々なものが要求された私は
当時の生活様式や言葉遣い、お茶、お花、舞、楽器など、次から次へと専任の講師が現れ、特訓を受けることになった。

分厚い台本が届いた。
「そろそろ、台本の読み合わせがありますから」と李順さんに渡された。

…セリフが――多い。
私は青ざめた。

ヒマな時間はほとんどないけれど、
時々美しい邸内を散策するのが楽しみだった。

王宮に続く回廊から降りたその先に大きな池があり
池のほとりには素敵な四阿があった。

石造りの四阿からは遠くまで続くお庭が見渡せた。
気持ちの良い風が吹くこの場所が私は気に入った。

陶製の椅子に腰かけて、私は手にしていた台本を広げた。

分厚い台本。

自慢じゃないけど、暗記モノはイマイチ苦手。

でも、足を引っ張る訳にはいかないから
へーかのためにと私は必死で台本を読みこんだ。

ブツブツと何度も口の中で繰り返し、覚えようと努力をする。

その時突然背後から陛下がいらしたのに全く気が付かなかった。

眼を隠された私は、ビクッと固まった。

「きゃっ!…誰?」

返事がない。

私の顔を包み込む大きな手
袖から焚き染められた薫香がほんのり漂い
私は陛下に間違いがないと私は確信していたのだけれども
返事がないとやはり不安だった。

「誰、ですか?」

二度目は自信なく尋ねて
それでも返事がなくて、私は思わず怖くなってしまった。

そっと手が開き、光が射した。
陛下の姿が見えて、私はホッとしてちょっとだけ拗ねた。

「…ヘーカ…ですよね?
意地悪しないでください」

「君は無防備すぎる」

陛下が少し怒ったように
ようやく口を開いた。

「へ?」
私は彼が何に怒っているのかよく分からない。

「私以外に誰が君に触れるというのか――」

「え?」

「誰、と君は…」

「何だ。そんなこと怒ってたんですか?
…すぐ分かりましたよ、ヘーカだって」

「…」
ブスリとした表情の彼が
なんだかとても可愛らしく見えた私は
思わず手を差し伸べて、彼の手に触れた

「陛下の手は、大きくて…優しいから。
すぐ分かりますよ」

彼の瞳の険が消えて、優しくなったと思ったら
いきなり抱きかかえられて、膝の上に座らされた。

「ぎゃっ!!
何するんですかぁっ?
よ、よしてくださいっつ――」

じたばたとする私を難なく捕える彼。
一行に構うことなくかれは違う質問をした

「愛しい妃よ、君はここで何をしていた?」

「セリフを覚えていました」

「セリフ?」

「沢山あるから、覚えられなくて」

「ふうん…」
彼は私の手からするりと台本を抜き取った。

「あっ、何するんですか!?」

「私と二人きりのときに
私意外の事に気をとられるとは――悪い妃だ」

「でも、台本の読み合わせは?」

「しない」

「え?
それじゃあせっかくこうしているのに
練習にならないじゃないですか!」

「こうしていること以外、
何も要らない――」

「えええええ?
それじゃあ、セリフが覚えられなくて
陛下の足を引っ張ったら
みなさんにご迷惑を――」

「…台本は要らない」

陛下は台本を遠くへポイと投げ捨てた。
一直線に飛んだそれは、ポチャンと音を立てて池に落ちた。

「――な」

私は呆然としてしまった。

「台本は、いらない。
君はありのまま
私を愛する妃でいてくれればよい」

ニッと微笑む大胆不敵な陛下。

いや、ヘーカ
それ、ワガママ――(涙;

*