狼のーかの花嫁(29)

こんばんは。
間が少しあいてしまってすみません。

沖縄は梅雨があけてるそうですね
あっという間に7月が近づいていました。

あまりに速い時の流れに身をまかせちゃって
もうドキドキです。

連載途中で間があくのは宜しくない

なにが宜しくないって
一番にはご訪問くださる方々に、大変心苦しく、申し訳ない。

そしてもう一つ
ザルな記憶が漏れ漏れになる梅雨時
(梅雨関係ない)

(こんなにしばしばインターミッションが入るなら
もっとシンプルなお話しにすればよかったと
それは後から思うことで…)

――いろいろお詫び申し上げます。

というわけで
設定がてんこ盛りのファンタジー。

諦めてお付き合いくだされば嬉しいです


無理は禁物。
ここでUターンしてくださって大丈夫です。

なんでも来いの方はどうぞお進みください。

あとちょっとで最後のはずです――が?
はたして終わりは見えるのか

収穫祭のメインイベント、公開評議が始まります

【現パラ】【パロディ】【ファンタジー】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(29)
* * * * * * *

収穫祭に浮き立つ白陽の地。どこもかしこも華やかに飾られ、人々は大騒ぎをしている。
だが夕鈴は、あいにく檻の中。

瑠霞姫がパチンと指を鳴らすごとに、ボワン、ボワンと煙があがり、
七変化する自分の姿に夕鈴は戸惑っていた。
「これは――?」
「…あ~らぁ、だって。
夕鈴ちゃんたら何を着せても似合うんですもの!
うふふ。
―――でもやっぱり、これが一番かしら…」
もう一度パチン、と瑠霞姫は指を鳴らした。

夕鈴は小さなウサギになっていた――。

瑠霞姫は美しい手付きで小さなウサギを抱え上げ、
大きく開けたドレスの胸元で抱きしめた。

「さあ、公開評議に参りましょ、お妃様?」と妖艶な唇を長い美しい爪でなぞった。

* * * * * * *

街の中央のランドマーク、大きなドーム天井を持つ古式ゆかしい大評議場の建物の周りは大勢の人であふれかえっている。
いよいよ王21歳の公開評議が始まろうとしていた。

古より定められし21歳に達した若き国王または王位継承権の持つ者に対して行われる儀式。

例年、退魔カボチャとの魔法戦は収穫祭のメインイベント。

“ランタンカボチャ”と呼ばれる退魔カボチャは魔法を吸い取り、夜、灯火のように光り輝く不思議なカボチャ。魔法使いにとって天敵であるこの恐ろしい退魔カボチャは、収穫祭イベントの魔法戦によって美味しいカボチャに生まれ変わる。最高級ブランド、白陽ランタンカボチャは全国各地へと出荷され、貴重な外貨を魔法使いの里である白陽国にもたらすのだ。

だが今年は珀 黎翔国王が21歳を迎え、特別な公開評議が行われる。
国王はまず最初に三人の評議員一人ずつと、形、色艶、大きさをで対決し、そのあとに国中の退魔カボチャにたった一人で挑むのだ。

ドーム天井を持つ巨大な円形評議場は、すり鉢の斜面部分の客席は大勢の人が埋め尽くしていた。
夕鈴は瑠霞姫の胸に抱えられ、ドキドキしながら会場に居た。
舞台正面最上段に設えられたバルコニー席は見るからにVIP席。

その一角は強烈に人目を惹きつけた。
…というのも、花々が咲き乱れるがごとく、色とりどりに着飾った美人ぞろいの令嬢たちがバルコニー席を埋め、咲き誇る花々のような笑いさざめいていたから。
瑠霞姫はその華やぎの頂点に君臨する女王のように中央・最前列の毛皮のシートに収まり、花園の主は艶然と評議場を見下ろしていた。

人々は今か今かと固唾をのんで待っていると、あたりの照明がゆるゆると落ち、薄暗くなり大きな鐘の音が鳴り響いた。

舞台中央がするすると音もなくせり上がり、あっという間に象牙色の高い壇が現れた。
裾を長く引いた円錐状のコニーデ型の壇は客席の最上段よりも高く高くそびえたった。
山裾から壇上まで続く長い階段。その半ばに黒づくめの男がすうっと音もなく降り立った。

(…どこから現れたの?)
ウサギ姿の夕鈴は前脚で目をごしごしこすった。

「周宰相ったら、相変わらず陰気な顔を…」
瑠霞姫がクスリと鼻で笑う。

山のようにそそり立つ壇を取りかこみ、舞台に向かって上手、中央、下手に評議委員のが三つ用意されていた。向かって右手、上手の席に髭を蓄えた無骨な男性。右の下手には瀟洒な雰囲気をまとった優し気な男性が、それぞれ設えられたバルコニーのような手すりに囲まれて立っていた。だが中央の評議員席は空席だった。

ファンファーレが鳴り響く。
ソワソワした雰囲気が会場を包んだ。

「…ついに、いらっしゃるぞ!」
「貴重な魔カボチャは魔法使いの垂涎の的。
陛下はどんな魔カボチャをご用意されたのだろう!?」
「史上最強と謳われる魔王であらせられる陛下であれば、
恐らく見たこともないような立派なものに違いあるまい! 
伝説の魔カボチャをこの目で拝めるなんて…!!」

上ずった人々の気持ちは、そのあと一瞬にして掻き消された。

どこからともなく冷気が会場を包み、ゾッとするような気配が会場を覆った。
魔王の降臨に人々は粛々と首を垂れ、会場中の人々が一斉に膝を折り平伏した。

典礼の声がかかる
「陛下の、おなーりー!」

ビリビリとした雰囲気だけで魔王の登場は一瞬にして知れ渡る。
それほどの威圧感を纏って小高い壇上に狼陛下が現れた。

会場中の人々が平伏し額を床に擦り付けお辞儀をした。
そうしながらも『陛下がご用意された最強の魔カボチャ』を一目でも早く見たい彼らは、ムズムズする気持ちが背中にあふれていた。

「皆の者、面を上げよ」
声がかかると人々は不遜ととられぬ程度にジリジリと頭を上げながら
我先にとばかりにその視線は陛下のカボチャへと走った。

――ところが
陛下の手にあったのは、いかにも『普通』
ころりとした黄金色の小ぶりのカボチャだ。

「まさか―――あれが?」

当てが外れた民の間でヒソヒソと声が上がる。
「まさか、魔カボチャが見つからなかったとか…」
「そんなはずは。陛下ともあろう御方がまがい物を人前に持ちだすはずはあるまい」
「もしあれが本当の魔カボチャだったとしても、あれでは小さすぎだ」
「これでは、陛下の負けと勝負は先に見えたようなもの」
「今年はローンを組んでるからなぁ、不作は困るなぁ…」
人々の落胆の声で、会場がざわめいた。

それにしても、ウサギの視点は新鮮だった。
VIP席で毛皮に包まれシャンパングラス片手に観戦中の妖艶なる美女、瑠霞姫。
VIP席の後ろ側には着飾った妙齢の令嬢たちがぎっしりと取り巻いており、姿を現した狼陛下の際立った容貌に色めき立っていた。

ゴウジャスな豹のドレスを身にまとった瑠霞姫は、小さな金色ウサギに変化した夕鈴を、あたかもアクセサリーのように抱きしめている。
夕鈴は瑠霞姫の腕の中でぴょこぴょこと耳を動かして辺りを見回した。

遠目にみても陛下は存在感があってカッコいい。
毛皮の縁取りがついたマントを翻すしぐさは堂々と威圧的。
夕鈴の胸はドクンと高鳴った。

周宰相と呼ばれた男は、懐から小さな巻物を取り出すと広げた。
その様子は会場のあちこちに設置されたワイドモニターや、天井からつるされた大きなスクリーンに様々な角度から映し出される。細長い指のしわまでもが映し出される解像度の巨大スクリーンの映像が切り替わり、突如周宰相の陰気な顔がスクリーンにアップで映し出され、その途端ドヨンドヨンという効果音が会場にいる人々には聞こえたような気がした。

宰相 周康蓮、と字幕が入り、どうやら話す内容もちゃんと字幕スーパーで表記されるようだ。
「開会の宣言」というタイトルがモニターに大きく浮かび上がった。

周宰相が儀式の流れとそれにまつわる説明をしている間じゅう、夕鈴の胸はドキドキと高鳴った。
(へーか…大丈夫かしら)
「あらあら。夕鈴ちゃんたら。少しは落ち着きなさいってば」
ギュッと胸に押し付けられる。
(あのその、さっきから、るるる瑠霞姫の、むね、むねっ!胸に当たってるんですけどー)
ジタバタするウサギを両手でかかえ、ジッと見つめる瑠霞姫の眼は肉食系。
「…っ!?」夕鈴はドキンと胸が弾んだ。

――そのとき、陛下が一直線にこちらを見た…ような気がした。
赤い瞳が輝き、一瞬夕鈴だけを凝視したような気がしたのだ。

瑠霞姫の背後に控えていた令嬢たちはキャーっと黄色い声を口々に上げた。
「今、私をご覧になって?」
「いえ、私よっ!!」
「…」
そんなかしましいやりとりをしり目に
夕鈴ウサギは身体をすくめ、思わず瑠霞姫の胸に潜り込んでいた。
「――っ!?」
夕鈴はドキドキと胸の高鳴りを抑えきれなかった。

(…まさか。
ここはバルコニー席の一番上。
こんな遠くで目が合うわけ、ないわよね――)

万を超える人が入っている大会場。
しかも自分は小ウサギの姿で瑠霞姫の豊かな胸の谷間に挟まれ、耳の先っぽと鼻先しか、出ていない状況。
ましてや瑠霞姫をはじめ、あでやかな令嬢たちが群れ集うVIPルームの華やかさといったら…。

「だいたい陛下が私に留守番していろと言ったんだから。居るはずのない人間を見つけるなんてありえないわよ。
きっとキレイな女の人達がいっぱいだから…そうよ、ヘーカのスケベっ!!」
夕鈴はもう一度、心の中で強く否定した。

(――あらあら、目ざといわね。
それにしても困ったものだわ…あの子ったら。腕によりをかけて揃えた粒ぞろいを令嬢たちには目もくれず…)
瑠霞姫はフッと相好を崩した。

ウサギ姿の夕鈴の額をマニキュアを施した爪先でくすぐる。

夕鈴はそこに陛下の印があることを思いだし、思わず赤面してしまった。
魔カボチャを育てるために、陛下と二人っきりで過ごした一週間余り――
「…うっ…ギャーっ!!」
ボフン、と湯気が挙がり、プルプルプルと首を振るウサギを瑠霞姫はホウっと一つ、悩ましげにため息をついて撫でるのだった。

「…愛っていいわねぇ」
瑠霞姫はつぶやいた。

「――以上、これより国王珀 黎翔陛下、御年21歳の儀式を始めさせていただきます。国王と評議会代表の三名は互いに魔法使い精神にのっとり正々堂々と戦うことを誓うべし…」

(…あら? 評議員席には二人だけで始めるの?)

夕鈴は気が付いた。
評議員が立つと思われたバルコニーの数は3つ。さきほどからその一つ、中央の席が空席のままだった。
周宰相はそれに構わず宣言した。

「ではこれより、一の勝負。開始!」

周宰相が腕を振り下ろすと、左の男性が立ちあがる。顔のアップがパッとモニターの字幕に表示された。評議会代表其の一、柳義広大臣と字幕が被っている。
柳大臣は両袖を合わせ、深々と一礼を捧げる。

「陛下。ご尊顔を拝し奉り――」

「堅苦しい挨拶はいらん。どこからでも来い」

陛下が一瞥を食らわせると、柳大臣は「ハッ」と短く返事をし、頷いた。

落ち着いた表情のようにみえたが、スクリーンでアップになると、柳大臣はうっすらと脂汗をかいているように見えた。

「では畏れながら、まずは形!
貴方様の防御力と、魔力の本質――つまりあなた様のお力が、善なるものか闇のものかを拝見させていただきますぞ!」

湧き立っていた評議場内がシーンと静まり返る。

柳大臣が両手を前に差し出す。指先は高い壇上の陛下の方へと向けられている。
目をつぶり静かに呼吸を整え、時が止まったかのように思えた。

…クワっと柳大臣の両眼が見開かれる

「はああああああああぁぁぁぁっ!!」
会場の建物を大きな掛け声が震わせた

柳大臣は猛烈な勢いで挑みかかっていった――

*


2 thoughts on “狼のーかの花嫁(29)

  1. 挑みかかる柳大臣・・・見てみたい!そして氾大臣はどんな風に挑むのか!
    瑠霞姫の胸の谷間はさぞかし気持ちがいいんだろうなぁと思いつつ、夕鈴兎がおたおたしたらこそばゆいんじゃないかしら?とか、色々妄想が広がっております・・・。そして、昨晩はこのページが表示されたスマホを握りしめて寝落ちしておりました・・・。なんてこった。

    • スマホとともに寝落ちされてるますたぬさまが、どうか安らかでありますように――(爆
      こそばゆいのですよ、
      でも瑠霞姫様はそれもきっと快感なんだとおもいます←(笑
      ありがとうございました

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