SS 早天の傍白

こんばんは
本誌の第2部に浮かれてます

つまらぬものですが
短い、陛下目線のモノローグ

コミックス派の方はご注意下さい。

【本誌沿い・72話時点の設定】

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SS 早天の傍白
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君が正式に後宮入りした。
偽りでない、妃として。

晴れて私たちは正式な夫婦となった。

今までと比べ
傍目に見ればとりたてて大きな変化はないだろう。
寵妃が後宮に出戻った、というだけ

私の立場的には、正直なところ
正式であろうとなかろうと、とくに問題はないことでもあった。

―――だが
違う、な。

今回の件について
メリットを挙げるとすれば

一つ。
何も理由など作らずとも
君と夜をともにできること。

…理由、というのは
主として君に対する言い訳のことだ。

以前
私は君が私を恐れているとばかり思っていた

――私は嫌われたくなくって
思い通りにならない君の反応にいつもドキドキさせられた。

だから、君と過ごせる時を少しでも長くと願いながらも
躊躇いながら君との距離を量っていたし

夜こっそり君の寝顔を見るときだって
ずいぶんと気を遣っていたんだ

一つ。
私の言葉を
ようやく、君がホンキにしてくれたこと。

愛しいという気持ちを言葉にすれば、とたんに彼女の頬が染まる

――それは夫婦演技をしていたころと
さして違いがないやりとりのように他人には見えるかもしれない

だが
全く違う。

それは何とも愉しく、私の心を満たす。
彼女の唇から私を好きだと言わせたくて
つい
苛めたくなってしまうほど
彼女のしぐさの一つひとつが
愛しくて…仕方がない。

――そうだな
デメリットといえば。

私は自分がとても心の狭い人間だと思い知らされること。

愛しすぎる妻を
今の彼女を
誰の眼にも、触れさせたくない。

誰にも。

君に顔を埋める

息を吸い込むと
そこには甘い君の生きている証があって
私は深く安堵するとともに
いつもチリチリとした痛みを感じるのだ

こうして
君を抱く。

躊躇しなかったわけじゃない

メリットも
デメリットも
二人の間にはいろいろな障壁も
あったかもしれない

だけど

愛しすぎて
――手放せないんだ。

捨てられたらどんなに楽だったろうか。

暗闇の中から返ってくる
君のいる証。

愛してるとつぶやけば
大好き、とこたえが返る

大好き、だけ?
と聞けば
私の胸に顔を埋めて
躊躇いがちな吐息がもれるばかり

それでもいつか
白状してくれる

熱っぽくて
くすぐったいほどに甘美なその時を待つのが
どうやら私はことのほか好きらしい。

そのくせ

私は疑り深いほど
幸せというものを受け入れ慣れていない自分を恥じる。

髪の毛一筋から爪の先に至るまで
君は
私の愛を注がれる
一身に

確かめても確かめても
いまこのときが幻でないことを祈りながら
不安で仕方がない自分がそこにいる。

私は君を愛することでこの世に踏みとどまっているのかもしれない

申し訳ないが
こと、君を愛することに関して
わたしはほどほどで済ませられる気はしない

確かめていたい
君の安全を――君の熱を。

私は、君を傷つけるものを許さない。

君をここに置くのは
君を守り抜くと、自分に対し誓ったから

だから
ここに居て
覚悟して
もう、離さない。

*


2 thoughts on “SS 早天の傍白

    • kumiさま こんにちは^^
      あの極寒の冬を乗り越え、微笑ましくも舞い上がる陛下が拝見できまして感無量にございます
      いやー、きっと。政務室の面々も楽になったのではないでしょうか(笑

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