狼のーかの花嫁(30)最終回


こんばんは。
最終回です。

ギャグでパロディでファンタジーで、
ほかにもいろいろ踏み外して難点はありますが
細かい事は気にしない、そんなあなたに贈ります。

勝負の結末は―――?

【現パラ】【パロディ】【ファンタジー】【最後は甘く〆?】
(ちょっと長いです。もし、エピローグまで見られない方いらしたらお知らせください)

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(30)最終回
* * * * * * *

評議員と陛下との一対一の真っ向勝負。
一の勝負は「形」

クワっと両眼を見開いた柳大臣は
「はああああああああぁぁぁぁっ!!」と大声を上げ、全身全霊をかけた一撃を繰りだした。

ゴゴウと大地が唸り声をあげ、評議上の中央の舞台を中心に、すさまじい圧力が生まれる。

柳義広大臣の体全体から緑色の靄が立ちのぼり、束ねられた緑の靄は眩しいほどの光となって陛下の手にあったカボチャへと一直線へと走った――

勝負は一瞬だった。

「じゃぁあぁんむぅっ けぇぇーん ぽぉおぉぉぉぉぉ~~~っ」
ゴゴゴゴゴゴゴ…
鬼気迫る気迫と共に打ち出された
柳大臣の拳は、グー

一方
真っ向から受け止める陛下は左の手は、パー

夕鈴(ウサギ姿)は、顎が外れたように、ポカーンとした。

(―――えっ?
えっ?
なに、
まさかの
ジャンケンポン―――?)

鬼瓦のように顔をゆがめた柳義広が、スローモーションのように床に崩れ落ちた。

「ぐぐぅ…
さすがは陛下にございますな」

「いや、さすがは柳大臣。
素晴らしい一撃だった――」

「ははぁあっ!
有難きお言葉」

辺りにはキラキラと木漏れ日のように大地からの祝福が降り注ぎ、人々は大きく深呼吸をし、大きなため息を吐き出した

陛下の身を案じ『さぞ壮絶な戦いになるのだろう』と覚悟し固唾をのんで見守っていた夕鈴は、あまりにあっけなく「グーにはパー」で勝負がついた試合を目の当たりにして、二の句が継げない。

柳大臣の体からほとばしった緑色の光は魔カボチャに命中したが、それは陛下の魔カボチャに何ら影響を与えることなくはじけるように雲散霧消していった。

膨大な大地のエネルギーは散り散りになり、評議会議場となっているドーム天井に反射してキラキラと木漏れ日のように降り注ぐ。

「一の勝負、珀 黎翔陛下の、勝ち」

周康蓮がモニターに大写しになり、陛下の勝ちを宣言した。

客電が入ると場内が明るくなり、場内アナウンスが流れる。

『ただいまより、10分間の休憩を戴きます。どうかチャンネルはそのままで、引き続き試合をお楽しみください―――』

人々のざわめきが戻ってきた。
戦い内容を互いに解説試合、拳を振るって説明をしあう興奮した声。

そんな周囲の反応は、ちっともピンとこなかった夕鈴にも
『何となくすごかった』と感じさせる。

(じゃあ、素人目には分からなかったけど、あの今のって、実はすごい戦いだったわけ?ただのジャンケンにしか見えなかったけど――)

瑠霞姫がフフと笑って、つぶやいた。

「お見事だこと。
柳大臣の邪無拳法(じゃむけんぽう)…よく練り上げられた熟練の大技をここで見られるとは思わなかったわ。
悪の力を用いる邪な魔法使いには、あの柳大臣の拳は受け止めきれなかったことでしょう。だけど、やはり陛下の魔力の方が一枚上手だったようね。
…さすが兄上の子」

瑠霞姫、解説、ありがとうございます。

(にしても、なにかしら。
あたり一面、森の香りが…?)ウサギの夕鈴がクンクンと鼻を鳴らすと

「うふふ、なんて素敵な森の香りなのかしら。
柳大臣は土と緑の魔法を使いこなす第一人者。その術を打ち破ったときには大地の恵みが広がるの」

(へぇ…)

「この国で今年収穫されたランタンカボチャに、その恩恵は届くのよ…。
この議場の真下には広大な地下倉庫があって、そこに今年収穫された全ての退魔カボチャが集められているのだから」

(ランタンカボチャに?)

「そう。魔法は大地から生まれるエネルギーだから♪」

魔法というのは何かしら奥深いものだと夕鈴は思った。
きょろきょろしながらフンフン夕鈴が鼻をならすと
「ああん、くすぐったいわぁ、夕鈴ちゃん♪」と瑠霞姫が甘い声を出すものだから、思わず夕鈴は赤面して首をすくめた。

「でも、ちょっとあっけなさ過ぎたかしら。過去の公開評議にはもっと見どころはあったと聞いているわ。先制攻撃で相手の力量を見極め(さいしょはグー)、続く第二波(ジャンケンポン)、第三波(あいこでしょ)と交わしあうものだと聞いていたけれども…
そんなファンサービスとか、あの子ったらお構いなしね」
瑠霞姫はコロコロと笑い転げた。
「何を焦っているのかしら? ねえ…ウサギちゃん?」
瑠霞姫はウサギ姿の夕鈴を構い、頭や耳の付け根に指を這わせ、毛の流れに沿ってスルスルと撫でる。

(―――?)
瑠霞姫は何をいいたいのだろう?
と、夕鈴が疑問に思ったとき

「それにしても…まあ、それにこれはまた清らかなフィトンチッド・ミストシャワーだこと」と瑠霞姫は話題をそらし「ねえ、そう思いませんこと?」と振り向きながら後ろに群がる少女たちに声をかけた。
その中でも感極まり涙を流しながら惜しげもなく拍手を送っていた一人の少女が立ち上がった。

「瑠霞姫様、ほんとうに。陛下の御技は素晴らしいものでした!
なんという美肌効果でございましょう!効き目抜群の恩恵を民に分け隔てなく与えるとは―――私、感動しておりますっ!
マイナスイオン効果のおかげで、執筆で溜まった疲れまで癒されていくようですわ♪」

鈴を鳴らすように美しい声の主は―――
(…紅珠!?)
夕鈴は、今の今まで、気が付かなかった。
(方淵の温室で、1つ目のカボチャの種を育てる時に紹介された、水月さんの妹さんじゃない――)

「執筆?
あら紅珠。あなた、何か書きものをされるの?」

「ええ、先日、私陛下のお妃様にお会いする栄誉を賜りましたの…それからもう、寝ても覚めても素晴らしいお二人の愛について考えずにはおれなくて―――それでつい。このような巻物をしたためておりますの」

(…えっ?!)
瑠霞姫に抱きしめられているウサギ姿の夕鈴はぎょっとした。

紅珠は頬染めて、そっと袖の下から巻物を取り出した。

「…勿論、他愛のないわたくしの想像の産物なのですけれども」

はらり、と巻物をほどかれ中を見せられる。
あわてて目で文章を追った夕鈴は次第に青ざめていった―――

それはモデルが非常に分かりやすいある青年と少女の物語の話のようで…
(ひえーーーー?!)
紅珠が差し出した巻物を、後ろから令嬢たちが我も我もと身を乗り出して覗き込んだ。
「まああっ、紅珠さま!
わたくしにも読ませてくださいません?」
「まだ本当にさわりだけなのですけれども…宜しいかしら?」
「ええっ!」
「是非、読ませてくださいませっ!!」
令嬢の間で引っ張りだこで巻物はあっという間にあたりに一大センセーションを巻き起こす。

(ギャぁぁぁぁぁぁ…!!)

夕鈴の叫びは誰にも届かなかった。
紅珠の作家活動がこの日を境に大プロジェクトへ発展していくなど…この時どうして知り得ることができたであろう…

さて、そうこうしているうちに、場内に予鈴が鳴り響いた。
再び場内アナウンスが入る。
「大変長らく御待たせいたしました。間もなく二の勝負が始まります。どなたさまもお席へお戻りください―――」

紅珠作品の回し読みはアナウンスを機に一旦区切りが付けられたようだったが、夕鈴は穴を掘って潜りたい気分であった。

先ほどよりは若干目の下の隈が薄らぎ、やや健康的になった(?)周康蓮がモニターに大写しになると、あたりは水を打ったように静まり返った。

下手の評議員席の優し気な男性をカメラが捉える。
氾史晴大臣、とスクリーンいっぱいに顔が映し出されると、一部熟年女性からきゃあアーと黄色い声が上がった。

「ふふ、さすが氾大臣。女性に人気だわね。
あの優しげなマスクの下に隠されてる恐ろしさも知らず――」意味深な瑠霞姫の言葉に夕鈴は首をひねる。

周大臣が「宜しいか」と対戦両者に声をかければどちらもうなづく。
周康蓮が声を張り上げ(でもボソボソ)宣言した。

「これより、二の勝負。色つやの審議、はじめ」

「お父様! がんばって」
手を祈るように重ね、紅珠がおもわず立ち上がる。

氾史晴は、評議員席の手すりに優雅に手をついたまま微笑んでいた。

「色ツヤは魔法の影響力…攻撃力、と言っても良いかしら。
同じ魔力でも効き目のあるなしが分かれる大切な要素よ。
国の中でも一二を争う実力者同士の対決―――さあ、どうでるか」
と瑠霞姫の言葉に、夕鈴はハッとなった。

「これはこれは陛下、ご機嫌麗しく――」

「…構わぬ、こい」

黎翔がジロリと睨みつける。
ああ、またなんと愛想のない…と思いながらも氾史晴は笑いながら指先をダランと下げ、寂しそうなそぶりで微笑みながら会場に流し目を垂れまくる。

きゃあああああと熟女たちが叫び、バタバタと卒倒するものまで出始めた…。

「氾史晴…やっぱり食えない大臣だこと。
まだまだ衰えない男の色香は、さすがね」
…でも私はダーリン一筋なの、うふふ、と瑠霞姫はウサギの夕鈴にチュッと軽くキスを落とす。

夕鈴は訳も分からず赤面するばかり。

「では、遠慮なく―――」氾が先に仕掛けた。

シュッと氾大臣の指先から何かがほとばしった。

狼陛下は意にも介さぬように、微動だにしなかった。
美しい陛下の頬に、一筋の赤い筋がでて、そこから血がつつぅとにじんだ…

(――え? 陛下、お怪我っ!?)
夕鈴は蒼白になって、じたばたした。

「夕鈴ちゃん、慌てないで。あれは――水」

(水?)
夕鈴は瑠霞姫を見上げる。

「氾は――水を操る魔法使い…。まさかそれ位で済むはず、ないわよね?」
瑠霞姫がゴクリと喉鳴らすと、氾史晴は爽やかに目を細め、端正な指先をくるりと回し、両腕を優美に大きく広げた。
あたかも極上の音楽で舞うがごとく、その指先からあふれ出たのは、水の奔流。
何万トンという水量の水が天井から、床から、ありとあらゆる方向から吹きだし、観客はわぁわぁと声をあげ逃げ惑う。議場はあっという間に水没しそうな勢いだ。

「いかがですか? 陛下―――」

観客席は水浸し。水に足を攫われ溺れる者、アップアップとあえぐもので辺りは阿鼻叫喚の様相を呈していた。
史晴はあたりの惨状など気にとめる様子もなく、他人事のように、ただ少しだけ寂しそうに笑った。

「お前のことだ。議場を水没させることを楽しむだけが趣向でもあるまい?」
狼陛下が睨み返すと

「ははは、お見通しですかね。では…」
と今度は指先を翻すと、水の中から大きな水龍が現れた。

大きな口を開け、黎翔に襲い掛かる水龍。

「あっ、陛下ぁあああつ―――!」

思わず夕鈴が叫んだ瞬間、黎翔がおもむろに手で制すと、水龍は狼陛下に従って動きを止めた。
そのままギンっ、と音がするほど水龍を睨みつける。

睨む、という行為に、これほどまでの威力があろうとは―――

まるで陛下の眼から光線が発射されたかとみえるほどの勢いだった。
世に云う「他を威圧し屈服従させる狼陛下の眼光」はウワサ以上の圧巻ぶりであった。

水龍は凍り付き、ほとばしる水流もそのまま氷柱オブジェと化し、議場の内部は美しくも冷たい氷の装飾で彩られた――

「こんどはこちらからも行くぞ」
フッと片方の口角をあげた狼陛下は、腕を一薙ぎした。
ガラガラガラ…と氷柱は次々砕かれ、辺り一面粉砕された氷の粒が吹雪のように巻き上がった。圧縮された冷気が一気に爆発し、耳をつんざく爆音とブリザードが一面吹き荒れ、全てのものが凍り付いた。
「れ、冷凍ビーム?!」
VIP席は観客席の一番上のバルコニー席だったので運よく氷漬けにはならなかったものの、議場の気温は氷点下。
観客席の半分の民はカチンコチンに凍り付いている。残りの半分はシャーベット並みに凍っていた。

瑠霞姫は健在で、あたりの毛皮を掻きよせ、ウサギの夕鈴ごとぎゅっと抱きしめ暖をとった。

「…氾、観念しろ」
氾の指先までも凍らせ、身動きを取れなくしたあげく、
狼陛下はフワリと飛び上ると、氾史晴の肩を軽くトンとつま先で触れた。

その途端、氾史晴は氷の破片となって砕け散った。

「―――おっ、お父様ぁああああ!?」
絹を引き裂くように紅珠が叫んだ

「勝負、あり!」
周康蓮の声が響く。

「…なんだ。つまらん」

狼陛下はため息をついて今度はマントを翻した。

毛皮で縁取られたマントの端から炎の奔流が生まれ、
あたりは火で舐めつくされ、あっというまに氷は解け、蒸発した。

――それなのに、誰一人として傷ついてなどいなかった。

砕け散った氾史晴の氷片は、水にもどると表面張力で床の上で盛り上がり、繋がり、その中からにょきにょきと透き通った人の形が再生する
――氾史晴はものの数分もたたぬうちに、元の姿に戻った。

「お父様…よかった」紅珠は安堵の吐息を漏らした。

「おやおや…これくらいでは歯が立ちませんでしたね。
しかし浄化された清い水は、地下のランタンカボチャにとってさぞ恵みの甘露となりましょう…」

氾史晴はフフフと笑う。

「お前にしては遠慮がちだったな―――」

それまでの硬い表情を一瞬崩し、笑って見せる狼陛下。

その笑顔に、夕鈴はメロメロになった。
…が背後の令嬢たちも同様だったため、黄色でかしましい声が盛り上がり、正直夕鈴は面白くなかった。

「水、氷、炎、そして大地の緑――
―攻撃も防御も、陛下にかなう者はおりますまい。どの属性であれ、陛下のお力は超一級品でございますな」

「いや、まだ一つ。残っている属性があるはずだが――」
柳大臣が横から重い口を開いた。

(もしかして、もう一つの属性、というのが、もう一人の対戦相手?
ということは、いよいよ三番目の評議委員の登場――?)

「あら、なかなか鋭いわね、夕鈴ちゃん」
瑠霞姫の声に、夕鈴はハッとなった。

(もしかして、もう一人は ――周大臣?)

と夕鈴が思った途端、
夕鈴を抱えたまま、瑠霞姫がフワリと浮き上がった。

「ホホホホ…は・ず・れ♪」

そのまま瑠霞姫はシルフィードの精のように風と戯れ、議場の真ん中までひとっ跳びで移動したのだった。

場内アナウンスが鳴り響く。
「まさに天かけるつむじ風、瑠霞姫。
珀黎翔の叔母君にして白陽国の宝石と間で誉れ高き美魔女。
…さあ、注目の三の勝負の行方やいかに――!?」

舞台の最後の一つ、中央の評議員席に収まると、瑠霞姫は妖艶に手すりにもたれかかった。
その胸元には金色ウサギ(夕鈴)が胸の谷間で圧死寸前だった(←)

「さあ、陛下。最後は、私がお相手よ?」

(るか、ひめ――?!)
夕鈴は彼女の胸に抱かれながら大混乱に落ちいった。

「三の勝負は、大きさ――あなたの器の大きさ、見せていただいてよ?
よくって? …それとも、少し休憩が必要かしら?
もちろん、その間にこの可愛いウサギちゃんが窒息しちゃうかもしれないけど――」

「その必要は、ない」
陛下は、瑠霞姫の胸に抱かれたウサギを見つめギリっと歯ぎしりをした。
「夕鈴を離せ――!」

(へい、か? 私って、分かるの?)
ウサギの姿でも分かってもらえるのは嬉しかった。
…でも陛下にとって自分が足手まといになっている状況に、夕鈴は泣きたい気持ちだった。

「じゃあ、さっそく好いコト、しましょう?
甥っ子の君。あなたが負けたら――あそこの席にいるご令嬢たちとお見合いをしていだだくつもりよ、わたくし」

(…瑠霞姫、陛下の、おば、さん?
わたし、へーかの身内に、ダメ出しされたってわけ?
釣り合いがとれないから…私じゃだめだから――
へーかには相応しい れいじょうを… )

夕鈴は今になって初めて瑠霞姫の考えを知り、まるで騙されたような気分になり悲しくなってしまった…。

瑠霞姫がカラかうような口調でコロコロを笑うのを遮り、
狼陛下は「周、はじめよ」と低い声で命を下した。

周康蓮が素早く「三の勝負、はじめ」と行司を振りかざす。

会場の大型モニターに瑠霞姫と珀黎翔陛下の麗しいドアップが映し出されるや、むっふぁああ…と訳の分からぬ声が辺りから上がり悶死寸前の観客まで出る始末(?)

そんなゆうちょうな観客を放っておいて始まった二人の戦い。

風の精霊を従えた風使いの瑠霞姫は、豹のかぎづめのような切れ味のカマイタチを繰りだし、狼陛下を追い詰める。自由自在に気体を圧縮する能力はすさまじく、真空から空気の大膨張!鼓膜が破れるかとおもったほど、荒っぽい魔法が次々繰り出される。

さすがに血筋は争えず、
瑠霞姫の魔力も大したものだった。

そのうえウサギの夕鈴を人質にとられている陛下は、防御も、反撃もしなかったのだ――

(あのお強い陛下が…)
夕鈴は眼をうたがった。

(せめて、防御だけでも――)

一方的な瑠霞姫の攻撃は執拗で、豹のドレスの裾が風に舞うたびに、陛下は打ちのめされ切り裂かれた。

「このように何も持たぬ者よりも。
容姿、血筋、教養、どれをとっても最高の、王にとって相応しい相手がよりどりみどりで
今直ぐにでも手に入るというのに――強情だこと」

何の反撃もせず、一方的にやられる陛下。

(わたしが、人質だから――?)
夕鈴の目には涙がいっぱいたまって、視界がボケていた
(お願い、陛下。私の事は気にしないで…
闘って!)

その時、瑠霞姫の強靭な一撃がまた陛下に命中し、陛下は大きく跳ね飛ばされた。

(瑠霞姫、やめて――っ!)
…だが瑠霞姫のしなやかな身ごなしに振り回されながらも、一瞬、会場の真ん中の席に佇む、ある人物たちが目に入ったのだ。

(――方淵、と、水月、さん?)

ウサギの夕鈴に、声は出せない。
キュウー、くっ、くっ、という押し殺した小さな鳴き声くらいでは、広い議場を観戦している人々の大歓声にかき消され、助けを求めたくても声を届けることができなかった――その時、夕鈴の涙にひゅっと引かれて、何かが顔にへばりついた。

ピンクの卵大の大きさのそれには、
にょろにょろと8本の足が生えて、吸盤で吸い付いついていた。

(…まさか。この子、水月さんの…)
ウサギの視界はとっても不便なのであるが、この感触と吸盤の形には見覚えが…

(やっぱり、タコのチューちゃん!!)

夕鈴は、こんな場所でこんな状況にもかかわらず
いけすラボで出会った、水月さんのペットのチューちゃんと再会を果たすことができて、なんだかとても嬉しかった。
夕鈴の涙に、吸い付いて水分補給をしているのだ。
(そうか、タコは海水の生物だから、チューちゃんも塩味が好きみたい…?)

その時、瑠霞姫がタコのチューちゃんの存在に気が付いた。
「キャーっ!?」
ブンブンと体を振り払い、気が狂ったように瑠霞姫は飛び回った。

「わっ、わ、わたくしの、胸の谷間に、エビルでデビルなっ…!」

瑠霞姫の一払いが、タコのチューちゃんと、金色ウサギの夕鈴を
空中へと投げ飛ばした。

狼陛下はその瞬間を見逃さなかった。
空中に跳ね飛ばされた夕鈴を一目散に追いかけ、手をのばし…

陛下の指が触れたとたん
夕鈴に掛けられていた瑠霞姫の魔法が、とけた――。

空中で、夕鈴は生まれたままの姿にもどり

「…うっ、 ぎゃぁあああああああああ~~~~!!!!!」

と頭から火山が噴火したような奇声を張り上げる彼女の姿は
あられもなく、万民の前にさらされ
……

狼陛下は
―― ついに、キれた。

その時、議場にしつらえられた、壮大なコニーデ山の頂上にあった魔カボチャが一気に膨張した。
陛下と夕鈴が育てた魔カボチャは、
議場のドームをはるかにしのぐサイズまでむくむく巨大化すると
議場の天井を吹き飛ばし、それでも足りずにまだ巨大化し、

――噴火した。

その日のことは
誰も記憶が定かではない

ただ、分かっていることといえば。

議場の地下に集められた退魔カボチャは稀に見る豊穣の祝福を浴びたこと。

そのおかげで美味しく美味しく生まれ変わった退魔カボチャは、過去お目にかかったことがないほどの最高級品だったという。

仕上がった白陽ランタンカボチャはその後全世界に出荷され、富と名誉を、白陽国にもたらしたということ。

そんな状況下にもかかわらず、記憶を全て失わず断片的に残すに至った
氾紅珠という稀な存在がいたこと―――。

とある青年と少女の真の愛の姿に感動したという彼女は
この時の様子を、彼女の空想と妄想で練り上げ、世に送り出し
大ベストセラー作家となった。

狼陛下21歳。

大豊作の年。

白陽国の農家のみならず
陛下にとっても豊穣の年となった、という――。

* * * * * * *
エピローグ
* * * * * * *

「だから、だからっ!」

「ウサギは服、着ないし」

「――だから、だからぁあっ!!」

「うん、狼も。
服なんて着ないよ?」

だから…って。
裸で抱き合って――

「いいんじゃない?
だって、ゆーりん。
のーかの花嫁、だし」

陛下がニッコリ笑うと
もう何もいえなくて

「君がみつけてくれた魔カボチャのおかげで
魔力の影響なく、君と一緒に居られるし…」

狼陛下は、彼女に感謝の口づけを贈った。

「ほら。魔カボチャに魔力を預けてる間、
ぼくは、普通の、ひと、でしょ?」

「ふ、ふつうの人、とかじゃ…ありませんよ」

「普通じゃない?」

黎翔は眉をしかめた。

「へーかは魔力がなくても。
…私の好きな、
特別なひと、です」

「よかった。
それならこのまま
…君を愛せる」

ギュッとだきしめられて
口づけを落されて
じたばたしようとしても、やっぱり身動きとれないほどで
押したおされたまま夕鈴はメロメロになって、
降ってくる陛下の口づけを受け止めた。

これは、夕鈴が迷い込んだ不思議な国で
陛下のためにカボチャをみつけて、育てたお話し。

魔カボチャのおかげで

二人は
とっても幸せになりましたとさ――。

めでたし、めでたし!

*

狼のーかの花嫁(29)


こんばんは。
間が少しあいてしまってすみません。

沖縄は梅雨があけてるそうですね
あっという間に7月が近づいていました。

あまりに速い時の流れに身をまかせちゃって
もうドキドキです。

連載途中で間があくのは宜しくない

なにが宜しくないって
一番にはご訪問くださる方々に、大変心苦しく、申し訳ない。

そしてもう一つ
ザルな記憶が漏れ漏れになる梅雨時
(梅雨関係ない)

(こんなにしばしばインターミッションが入るなら
もっとシンプルなお話しにすればよかったと
それは後から思うことで…)

――いろいろお詫び申し上げます。

というわけで
設定がてんこ盛りのファンタジー。

諦めてお付き合いくだされば嬉しいです


無理は禁物。
ここでUターンしてくださって大丈夫です。

なんでも来いの方はどうぞお進みください。

あとちょっとで最後のはずです――が?
はたして終わりは見えるのか

収穫祭のメインイベント、公開評議が始まります

【現パラ】【パロディ】【ファンタジー】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(29)
* * * * * * *

収穫祭に浮き立つ白陽の地。どこもかしこも華やかに飾られ、人々は大騒ぎをしている。
だが夕鈴は、あいにく檻の中。

瑠霞姫がパチンと指を鳴らすごとに、ボワン、ボワンと煙があがり、
七変化する自分の姿に夕鈴は戸惑っていた。
「これは――?」
「…あ~らぁ、だって。
夕鈴ちゃんたら何を着せても似合うんですもの!
うふふ。
―――でもやっぱり、これが一番かしら…」
もう一度パチン、と瑠霞姫は指を鳴らした。

夕鈴は小さなウサギになっていた――。

瑠霞姫は美しい手付きで小さなウサギを抱え上げ、
大きく開けたドレスの胸元で抱きしめた。

「さあ、公開評議に参りましょ、お妃様?」と妖艶な唇を長い美しい爪でなぞった。

* * * * * * *

街の中央のランドマーク、大きなドーム天井を持つ古式ゆかしい大評議場の建物の周りは大勢の人であふれかえっている。
いよいよ王21歳の公開評議が始まろうとしていた。

古より定められし21歳に達した若き国王または王位継承権の持つ者に対して行われる儀式。

例年、退魔カボチャとの魔法戦は収穫祭のメインイベント。

“ランタンカボチャ”と呼ばれる退魔カボチャは魔法を吸い取り、夜、灯火のように光り輝く不思議なカボチャ。魔法使いにとって天敵であるこの恐ろしい退魔カボチャは、収穫祭イベントの魔法戦によって美味しいカボチャに生まれ変わる。最高級ブランド、白陽ランタンカボチャは全国各地へと出荷され、貴重な外貨を魔法使いの里である白陽国にもたらすのだ。

だが今年は珀 黎翔国王が21歳を迎え、特別な公開評議が行われる。
国王はまず最初に三人の評議員一人ずつと、形、色艶、大きさをで対決し、そのあとに国中の退魔カボチャにたった一人で挑むのだ。

ドーム天井を持つ巨大な円形評議場は、すり鉢の斜面部分の客席は大勢の人が埋め尽くしていた。
夕鈴は瑠霞姫の胸に抱えられ、ドキドキしながら会場に居た。
舞台正面最上段に設えられたバルコニー席は見るからにVIP席。

その一角は強烈に人目を惹きつけた。
…というのも、花々が咲き乱れるがごとく、色とりどりに着飾った美人ぞろいの令嬢たちがバルコニー席を埋め、咲き誇る花々のような笑いさざめいていたから。
瑠霞姫はその華やぎの頂点に君臨する女王のように中央・最前列の毛皮のシートに収まり、花園の主は艶然と評議場を見下ろしていた。

人々は今か今かと固唾をのんで待っていると、あたりの照明がゆるゆると落ち、薄暗くなり大きな鐘の音が鳴り響いた。

舞台中央がするすると音もなくせり上がり、あっという間に象牙色の高い壇が現れた。
裾を長く引いた円錐状のコニーデ型の壇は客席の最上段よりも高く高くそびえたった。
山裾から壇上まで続く長い階段。その半ばに黒づくめの男がすうっと音もなく降り立った。

(…どこから現れたの?)
ウサギ姿の夕鈴は前脚で目をごしごしこすった。

「周宰相ったら、相変わらず陰気な顔を…」
瑠霞姫がクスリと鼻で笑う。

山のようにそそり立つ壇を取りかこみ、舞台に向かって上手、中央、下手に評議委員のが三つ用意されていた。向かって右手、上手の席に髭を蓄えた無骨な男性。右の下手には瀟洒な雰囲気をまとった優し気な男性が、それぞれ設えられたバルコニーのような手すりに囲まれて立っていた。だが中央の評議員席は空席だった。

ファンファーレが鳴り響く。
ソワソワした雰囲気が会場を包んだ。

「…ついに、いらっしゃるぞ!」
「貴重な魔カボチャは魔法使いの垂涎の的。
陛下はどんな魔カボチャをご用意されたのだろう!?」
「史上最強と謳われる魔王であらせられる陛下であれば、
恐らく見たこともないような立派なものに違いあるまい! 
伝説の魔カボチャをこの目で拝めるなんて…!!」

上ずった人々の気持ちは、そのあと一瞬にして掻き消された。

どこからともなく冷気が会場を包み、ゾッとするような気配が会場を覆った。
魔王の降臨に人々は粛々と首を垂れ、会場中の人々が一斉に膝を折り平伏した。

典礼の声がかかる
「陛下の、おなーりー!」

ビリビリとした雰囲気だけで魔王の登場は一瞬にして知れ渡る。
それほどの威圧感を纏って小高い壇上に狼陛下が現れた。

会場中の人々が平伏し額を床に擦り付けお辞儀をした。
そうしながらも『陛下がご用意された最強の魔カボチャ』を一目でも早く見たい彼らは、ムズムズする気持ちが背中にあふれていた。

「皆の者、面を上げよ」
声がかかると人々は不遜ととられぬ程度にジリジリと頭を上げながら
我先にとばかりにその視線は陛下のカボチャへと走った。

――ところが
陛下の手にあったのは、いかにも『普通』
ころりとした黄金色の小ぶりのカボチャだ。

「まさか―――あれが?」

当てが外れた民の間でヒソヒソと声が上がる。
「まさか、魔カボチャが見つからなかったとか…」
「そんなはずは。陛下ともあろう御方がまがい物を人前に持ちだすはずはあるまい」
「もしあれが本当の魔カボチャだったとしても、あれでは小さすぎだ」
「これでは、陛下の負けと勝負は先に見えたようなもの」
「今年はローンを組んでるからなぁ、不作は困るなぁ…」
人々の落胆の声で、会場がざわめいた。

それにしても、ウサギの視点は新鮮だった。
VIP席で毛皮に包まれシャンパングラス片手に観戦中の妖艶なる美女、瑠霞姫。
VIP席の後ろ側には着飾った妙齢の令嬢たちがぎっしりと取り巻いており、姿を現した狼陛下の際立った容貌に色めき立っていた。

ゴウジャスな豹のドレスを身にまとった瑠霞姫は、小さな金色ウサギに変化した夕鈴を、あたかもアクセサリーのように抱きしめている。
夕鈴は瑠霞姫の腕の中でぴょこぴょこと耳を動かして辺りを見回した。

遠目にみても陛下は存在感があってカッコいい。
毛皮の縁取りがついたマントを翻すしぐさは堂々と威圧的。
夕鈴の胸はドクンと高鳴った。

周宰相と呼ばれた男は、懐から小さな巻物を取り出すと広げた。
その様子は会場のあちこちに設置されたワイドモニターや、天井からつるされた大きなスクリーンに様々な角度から映し出される。細長い指のしわまでもが映し出される解像度の巨大スクリーンの映像が切り替わり、突如周宰相の陰気な顔がスクリーンにアップで映し出され、その途端ドヨンドヨンという効果音が会場にいる人々には聞こえたような気がした。

宰相 周康蓮、と字幕が入り、どうやら話す内容もちゃんと字幕スーパーで表記されるようだ。
「開会の宣言」というタイトルがモニターに大きく浮かび上がった。

周宰相が儀式の流れとそれにまつわる説明をしている間じゅう、夕鈴の胸はドキドキと高鳴った。
(へーか…大丈夫かしら)
「あらあら。夕鈴ちゃんたら。少しは落ち着きなさいってば」
ギュッと胸に押し付けられる。
(あのその、さっきから、るるる瑠霞姫の、むね、むねっ!胸に当たってるんですけどー)
ジタバタするウサギを両手でかかえ、ジッと見つめる瑠霞姫の眼は肉食系。
「…っ!?」夕鈴はドキンと胸が弾んだ。

――そのとき、陛下が一直線にこちらを見た…ような気がした。
赤い瞳が輝き、一瞬夕鈴だけを凝視したような気がしたのだ。

瑠霞姫の背後に控えていた令嬢たちはキャーっと黄色い声を口々に上げた。
「今、私をご覧になって?」
「いえ、私よっ!!」
「…」
そんなかしましいやりとりをしり目に
夕鈴ウサギは身体をすくめ、思わず瑠霞姫の胸に潜り込んでいた。
「――っ!?」
夕鈴はドキドキと胸の高鳴りを抑えきれなかった。

(…まさか。
ここはバルコニー席の一番上。
こんな遠くで目が合うわけ、ないわよね――)

万を超える人が入っている大会場。
しかも自分は小ウサギの姿で瑠霞姫の豊かな胸の谷間に挟まれ、耳の先っぽと鼻先しか、出ていない状況。
ましてや瑠霞姫をはじめ、あでやかな令嬢たちが群れ集うVIPルームの華やかさといったら…。

「だいたい陛下が私に留守番していろと言ったんだから。居るはずのない人間を見つけるなんてありえないわよ。
きっとキレイな女の人達がいっぱいだから…そうよ、ヘーカのスケベっ!!」
夕鈴はもう一度、心の中で強く否定した。

(――あらあら、目ざといわね。
それにしても困ったものだわ…あの子ったら。腕によりをかけて揃えた粒ぞろいを令嬢たちには目もくれず…)
瑠霞姫はフッと相好を崩した。

ウサギ姿の夕鈴の額をマニキュアを施した爪先でくすぐる。

夕鈴はそこに陛下の印があることを思いだし、思わず赤面してしまった。
魔カボチャを育てるために、陛下と二人っきりで過ごした一週間余り――
「…うっ…ギャーっ!!」
ボフン、と湯気が挙がり、プルプルプルと首を振るウサギを瑠霞姫はホウっと一つ、悩ましげにため息をついて撫でるのだった。

「…愛っていいわねぇ」
瑠霞姫はつぶやいた。

「――以上、これより国王珀 黎翔陛下、御年21歳の儀式を始めさせていただきます。国王と評議会代表の三名は互いに魔法使い精神にのっとり正々堂々と戦うことを誓うべし…」

(…あら? 評議員席には二人だけで始めるの?)

夕鈴は気が付いた。
評議員が立つと思われたバルコニーの数は3つ。さきほどからその一つ、中央の席が空席のままだった。
周宰相はそれに構わず宣言した。

「ではこれより、一の勝負。開始!」

周宰相が腕を振り下ろすと、左の男性が立ちあがる。顔のアップがパッとモニターの字幕に表示された。評議会代表其の一、柳義広大臣と字幕が被っている。
柳大臣は両袖を合わせ、深々と一礼を捧げる。

「陛下。ご尊顔を拝し奉り――」

「堅苦しい挨拶はいらん。どこからでも来い」

陛下が一瞥を食らわせると、柳大臣は「ハッ」と短く返事をし、頷いた。

落ち着いた表情のようにみえたが、スクリーンでアップになると、柳大臣はうっすらと脂汗をかいているように見えた。

「では畏れながら、まずは形!
貴方様の防御力と、魔力の本質――つまりあなた様のお力が、善なるものか闇のものかを拝見させていただきますぞ!」

湧き立っていた評議場内がシーンと静まり返る。

柳大臣が両手を前に差し出す。指先は高い壇上の陛下の方へと向けられている。
目をつぶり静かに呼吸を整え、時が止まったかのように思えた。

…クワっと柳大臣の両眼が見開かれる

「はああああああああぁぁぁぁっ!!」
会場の建物を大きな掛け声が震わせた

柳大臣は猛烈な勢いで挑みかかっていった――

*

[只之日記]


ほんとうに
他愛ない、ただの日記です。

さばくのにちょっと遅くまで手間取った。

少しだけ自由になる時間はあるけど
お話を書くまでは余力がない。

じゃあ
今日は日記をかこうかと思いついた。

けれど

つまんない日記だったら
あげない方がよいのかなあ
…とか
悩んだりもします。

これって

読み専のころ
好きな書き手さんの作品にコメント入れる時と
気分的に
少しだけ似てるかもしれません。

私は
自分が貰う側なら

ほんとうに
何気ない、短い一言であったとしても
コメントを寄せて下さる方が、その言葉を選んで
送ってくれたということが
すごく嬉しいです。

「おもしろかった」
とか
「泣けた」
とかいただけたときは
とくに ←

そんな理由で
とりあえず、日記とかかいてみるのでありました。

いや、駄文ですね。
まったく

一読み手として、コメントとかいれるお話の
さらに蛇足。

ドキドキ初々しいときは、まあ上記のようなかんじ。

でもそのうち
「いつも顔出してるから。一番のりでコメント書かなくちゃ、ワルイかなぁ…」
とか思うようになってくるときが(仮に)あった、とします。
(うん、そう。はい、仮に、ですよ? あくまで)

『…これって、惰性?』
ってやつです。

こんどは中味じゃなくて、ただ訪問するという形式的な表面上の任務を遂行するために縛られて
いつしか気が重くなって
中味に心が伴わなくなったとしたら
辛いでしょう。

だから、
そんな気重なことだったら
気を使うのはやめてくださいね?
(少なくとも、此処では)

私はすごくポンコツなので

電脳世界の時の進み方と、自分のそれとは
すごい隔てがあって
なかなかシンクロできてない気がします

まあ仕方がないなあ。です(笑
たぶん、単なる「クロック数」の問題なのかもしれませんけど。

スペックが違うんだから
OSが根本的に違うんだから

解決しようのないことは、悩む必要なし、と習いました ←

それに加えて

調子悪かったり
すごい忙しかったり…
誰でもそんなことは起きるし、特別なことじゃないんですけど

死角ができたとたん
あっというまに
世の中が先に進んでしまう。

おいてけぼりをくってしまうと
もう
追いつけない。

――そんなわけで

最近すごく
出不精になってしまっております。

(およそを訪ねたり
読んだりしていないので、
ずいぶん二次世界に疎くなってきてます)

あいかわらず散漫ですね

その混乱に乗じて
お詫びです。

貰うの嬉しいくせに
返すのが下手でごめんなさい

コメントのお返事
いつも遅くなったりして
本当に申し訳ありません

でも
嬉しいんですよ

ほんとうに

一期一会

明日もどうかお元気で。

*

[お知らせ]グループ交流ページについて


いつもサイトにご訪問くださり、ありがとうございます。

グループ交流の場として「本誌感想スレッド」を当サイト内に設置しました。

ファンとしてはいろいろ十人十色メンバーの感想をお持ちとおもいますし、
そういうのもちょこっと聞いてみたい…というわけで
メンバーさん同志も自由に交流できるタイプのプラグインを導入してみました。

メンバー間でひっそり感想とかやりとりできたら楽しいですね。

独自ドメイン内部に設置した、
非常に個人的でささやかなブログ内のコミュです

かるくルール

1)ご利用対象者は、当ブログへのメンバーさんです
2)ネタバレを含みますので、コミックス派の方はご注意ください
3)フラゲ(フライングゲット:発売日前に入手)の方へ。
 ※書き込み解禁は【本誌発売前日の正午以降】でお願い申し上げます。

こちらは基本的にはメンバー制のスレッドですがお互いを思いやりながら、居心地よい社交の場としてご活用いただければ嬉しいです。

SS 早天の傍白


こんばんは
本誌の第2部に浮かれてます

つまらぬものですが
短い、陛下目線のモノローグ

コミックス派の方はご注意下さい。

【本誌沿い・72話時点の設定】

* * * * * * * * * * *
SS 早天の傍白
* * * * * * * * * * *

君が正式に後宮入りした。
偽りでない、妃として。

晴れて私たちは正式な夫婦となった。

今までと比べ
傍目に見ればとりたてて大きな変化はないだろう。
寵妃が後宮に出戻った、というだけ

私の立場的には、正直なところ
正式であろうとなかろうと、とくに問題はないことでもあった。

―――だが
違う、な。

今回の件について
メリットを挙げるとすれば

一つ。
何も理由など作らずとも
君と夜をともにできること。

…理由、というのは
主として君に対する言い訳のことだ。

以前
私は君が私を恐れているとばかり思っていた

――私は嫌われたくなくって
思い通りにならない君の反応にいつもドキドキさせられた。

だから、君と過ごせる時を少しでも長くと願いながらも
躊躇いながら君との距離を量っていたし

夜こっそり君の寝顔を見るときだって
ずいぶんと気を遣っていたんだ

一つ。
私の言葉を
ようやく、君がホンキにしてくれたこと。

愛しいという気持ちを言葉にすれば、とたんに彼女の頬が染まる

――それは夫婦演技をしていたころと
さして違いがないやりとりのように他人には見えるかもしれない

だが
全く違う。

それは何とも愉しく、私の心を満たす。
彼女の唇から私を好きだと言わせたくて
つい
苛めたくなってしまうほど
彼女のしぐさの一つひとつが
愛しくて…仕方がない。

――そうだな
デメリットといえば。

私は自分がとても心の狭い人間だと思い知らされること。

愛しすぎる妻を
今の彼女を
誰の眼にも、触れさせたくない。

誰にも。

君に顔を埋める

息を吸い込むと
そこには甘い君の生きている証があって
私は深く安堵するとともに
いつもチリチリとした痛みを感じるのだ

こうして
君を抱く。

躊躇しなかったわけじゃない

メリットも
デメリットも
二人の間にはいろいろな障壁も
あったかもしれない

だけど

愛しすぎて
――手放せないんだ。

捨てられたらどんなに楽だったろうか。

暗闇の中から返ってくる
君のいる証。

愛してるとつぶやけば
大好き、とこたえが返る

大好き、だけ?
と聞けば
私の胸に顔を埋めて
躊躇いがちな吐息がもれるばかり

それでもいつか
白状してくれる

熱っぽくて
くすぐったいほどに甘美なその時を待つのが
どうやら私はことのほか好きらしい。

そのくせ

私は疑り深いほど
幸せというものを受け入れ慣れていない自分を恥じる。

髪の毛一筋から爪の先に至るまで
君は
私の愛を注がれる
一身に

確かめても確かめても
いまこのときが幻でないことを祈りながら
不安で仕方がない自分がそこにいる。

私は君を愛することでこの世に踏みとどまっているのかもしれない

申し訳ないが
こと、君を愛することに関して
わたしはほどほどで済ませられる気はしない

確かめていたい
君の安全を――君の熱を。

私は、君を傷つけるものを許さない。

君をここに置くのは
君を守り抜くと、自分に対し誓ったから

だから
ここに居て
覚悟して
もう、離さない。

*

狼のーかの花嫁(28)


こんにちは
いつもご訪問くださり、ありがとうございます

少し溜まった疲れに低気圧が乗算されたのやら
昨日は一日頭痛を友として
…でもまあ
久しぶりにのんびりお布団でゴロゴロしました

さて
お話もラストステージに向け着々進行中
いよいよ収穫祭を迎えまして
メイン・イベントに向けて夕鈴と浩大も隠密行動中なんですが―――

また登場人物が増えちゃいますよ
いまさら。

【現パラ】【パロディ】【ファンタジー】【つむじ風】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(28)
* * * * * * *

その時、突然夕鈴の背後から声がかかった。

「…ねえ、ちょっと。
…私の愛しいウサギちゃん」

「――はい?」

振り返ると、大きな日傘をさしたとても美しい女性が立っていた。
「…ひょ、豹?」
夕鈴は振り向いてぎょっとした。
彼女が身に着けていたベルベットのヒョウ柄ドレスにはキラキラと数えきれないほどの宝石が輝いていた。
大胆な柄とデザインなのにもかかわらず、決して下品ではなく、むしろ高貴であった。

ボリュームのある胸元をギリギリ絶妙なラインで包み込み、キュッとしまったウエストを一際引き立てる。
長い裾の左脇には大胆にスリットが入り、腿の付け根からすらりと伸びた脚を大胆に披露し、
その爪先には金色に輝く華奢なピンヒール。
そのひとは見たこともないような美しい女性で、夕鈴は思わず顔を赤らめてしまうほど。

艶やかな長い黒髪に、長いまつげ。
端正に整った顔立ちにくっきりと赤いルージュがとても良く似合っていた。

「ど、どちらさまでしょう?
お人違いじゃ――」

夕鈴はおどおどと返答をした。

「…あなたのことよ、愛らしいウサギちゃん!」

美しい女性は夕鈴に向かって手を伸ばすと、細長い爪にはキラキラ光るその指で、つううっと、彼女が身に着けている被り物のウサギ耳の輪郭をなぞった。

「えっ!?」

風が吹き、フワリと良い香りが漂ってくる。
ポカンと見上げると、ジッと夕鈴を見つめている彼女の赤い瞳とバッチリと目があってしまった。

彼女は、帽子越しにサラサラかぶる夕鈴の前髪の下にある“それ”をさりげなく見極めるとニコリと笑った。

「――その仮装、良くお似合いだこと」

「はっ?
ええと、あの?」

夕鈴は頭の上に乗せていた大きな黒い帽子をしっかりと両手で引っ張って慌てて被りなおす。

『あたりを見回せば、自分と似たようなウサギの仮装をした人はたくさんいるのに。
何、何? ――どうして?』夕鈴はいぶかしがった。

「金色ウサギ、でしょ? なんて可愛らしいのかしら」
女性は夕鈴の頭上のウサギ耳をゆっくりと撫ぜた。
美しい女性にそう言われると悪い気はしないが…それでも今は誰にもばれないように隠密行動中だと思うと夕鈴はハラハラしてしまう。

(ちょっと待ってよ、浩大。
これが一番目立たない格好って言ってたくせに、しっかり目立って――)
慌てて浩大を目で探すが、グルリと見回しても浩大が見当たらない。

その頃、浩大は辻の角に身をひそめ「げ、ヤベー!」と冷や汗をかいていたともしらず、
夕鈴は戸惑いながらも既に女性のペースにはまっているのだった。

「その仮装、金色ウサギでしょ? 
とっても美味しそう。
でも、もっと磨きがいがありそうね?
せっかくのお祭りなんですもの。
ねえ、これも何かのご縁じゃないかしら。
――ちょっとあなた、わたくしとご一緒しない?」

(…?)
優しく引っ張られ、夕鈴は焦って立ち止まる。

「え、あの――せっかく、すみません。
でも私これから行くところが…」

「まあ、どちらに?」

「あの。その、収穫祭のイベントを見に行こうかなぁって――」

「あら! あなた、狼陛下の公開評議を見にいくの?
――それなら、なおさらよ、ね。私と参りましょ♪
特上のお席だから、よく見られるわよ」

「…え?」
特上の席って?
よく見られるって――??

内心冷や汗がダーッと流れながらもあれよあれよという間に、夕鈴はその女性に手を引かれてしまう。

「えええ? …あの、その」

「わたくし、瑠霞姫」

「る、瑠霞――姫!?」

(姫ってことは、王族? じゃあ、陛下のご親戚――?
…確かに、紅い瞳とかへーかと一緒だし
こんな美人で高貴な雰囲気っていったら…)

瑠霞姫と名乗った女性はニッコリと妖艶に笑いかける。

(でも、陛下のご親戚が、どうしてこんな街角にいるの?
そもそも初対面の私が妃とか、知らないはずでしょ?
もしかして額のへーかの印、見られちゃったのかしら?)と
夕鈴の頭はグルグル回るが
何がなんだか分からずに戸惑うばかり。

「あなたのお名前は?
可愛らしいウサギさん?」

「て、汀、夕鈴と申します。よろしくお願い申し上げます」

(…陛下のご親戚というのなら、陛下の恥にならないよう
ちゃんとしなきゃ)

夕鈴は恭順の意を示し、丁寧に頭を下げた。

「うふふ…夕鈴ちゃんっていうのね?
あそこに私の馬車があるの――さあ」
と指された方向に夕鈴がひょいと首を回すと、
そこには花々やリボンを飾りたてた大きな檻の乗せられた白馬六頭立ての馬車が用意されていた。

瑠霞姫がパチンと指を鳴らした。

「――あれに乗って、私と参りましょう」

一瞬気を許した夕鈴の身に、とんでもないことが待ち受けていた。

美しい人は、指先で指揮でも振るようにスッと宙を切ると
馬車の上の檻の戸がパッと開いた。

今度はヒュッとつむじ風が吹いて、
夕鈴をふわりと風が巻き上げ「きゃっ!?」と声を立てたものの
時既に遅しとばかり
あっという間に彼女は檻の中に吸い込まれていた。

瑠霞姫は豹のようにしなやかな身ごなしで馬車のカーゴに乗り込む。
彼女の指先に操られるように風が吹き、パタンと檻の扉が閉じた

主の目配せで御者はすかさず馬に鞭をあてた。

「さ、参りましょ♪」

瑠霞姫は檻の中の夕鈴に極上の微笑みを投げかけた。

「ひ、ひええええ~~~っ!!!?」

ガラガラガラガラ…と華やかな馬車は走り出し
「お妃ちゃーん…」
建物の影から歯嚙みしながらも手出しできぬ浩大の目の前を通りすぎた。

かくして、ヒョウに扮した瑠霞姫は、意気揚々と金色ウサギの夕鈴を連れ去ったのであった。

*

狼のーかの花嫁(27)


こんばんは~^^

さて、時と場面は変わって――。

続きです。

【現パラ】【パロディ】【ファンタジー】【収穫祭の始まりはじまり】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(27)
* * * * * * *

早朝にポンポンと花火の揚がる音がして、それから街は勢い活気づいた。
昨日までなにも無く閑散としていたはずの道路には縄と電飾が張りめぐらされ、色とりどりの提灯、キラキラ輝く吊物、そして旗布などが所狭しと飾りつけられ風になびいていた。

夕鈴は呆然としながら3階建ての建物ほどの高さのある巨大な花山車を見上げてため息をついた。

ポカンと脳裏に浮かぶ。

(―――るすばん…?)

今朝、李順さんに言われたやりとりを思いだすと、夕鈴はふつふつと感情が動き出すのを感じた。

『…正確には、ほぼ留守番みたいなもの、です。
下っ端妃のあなたには、ほとんど出番がないので―――
ああ、でもこのビルからでも、雰囲気だけは見れるでしょうから。
まあ、一人で楽しんでいてください』

陛下のために
収穫祭のために
―――あ、あ、あんなに…
あんなに、あんなに…あんなに頑張っ…

―――カアアアアっ…と顔が真っ赤に染まる。

(ギャーっ。…ダメ、ダメ…!!)
夕鈴はギュッと顔をしかめて、それから必死で何事もなかったふりをして自分を鼓舞した。

色とりどりの花で飾られた大きな花山車を指差して、叫ぶ。

「わぁっ! キレイ―――」

「しーっ!」

夕鈴は両手で口を塞いだ。
自称『へーかの隠密』という小柄な男のクリクリした人懐っこい目が一瞬厳しく見えた。

花山車のてっぺんにしつらえられた席から、人の視線が降ってくる。

「ほら、あそこにも人がいるダロー?
…いろんなとこに目や耳があるからさ、
もうちょっと離れるまで気を付けてヨー」

「…なんで、あんたと一緒にこんな…」
夕鈴がほとんど声を出さないように、ブチブチつぶやくと、小柄な男は屈託ない笑顔で振りかえった。

そう言いながら、感謝はしている。
なにせ、この自称『ヘーカの優秀な隠密』という男が、夕鈴に与えられた部屋からこっそり抜け道から連れ出してもらわなければ、自分はビルから出ることすら叶わなかったのだから…。

セキュリティがガチガチになったあそこは、まるで砦だったから…
あがいてはみたものの、夕鈴には手も足も出なかったのだった

「だって。ヘーカ例のやつ、見たいんでしょ?」

「え、あ。…うん」

「そっか―――じゃあ」

そういうと、浩大はパチン、と指を鳴らした。
夕鈴の周りでモワンとした煙が上がった。

「えっ?」

ハッと違和感を感じて、自分の体を見下ろすと、いきなり服が変わっている。
「なに? 魔法?
―――ちょ、ちょっと待って!
ほんとにこんな格好で…」

「こんなときには、こーゆーのが地味なの。
ほら、周りに溶け込んじゃって、ぜーんぜん目立たないデショ?」

兎のフワフワした着ぐるみだけど、お腹や大腿が大胆に露出している…
手さぐりで頭や顔を触ってみると、フワフワした大きな耳が生えている。
馬鹿みたいに大きな黒い帽子が載っていて、しかもご丁寧にウサ耳が通る穴がちゃんとついていて、耳が貫通する仕組みになっていた。

ショーウィンドーに映った自分の姿をみて、夕鈴はちょっと顔を赤らめた。

「…ウサギって―――なに!?」

浩大は
「―――いっから。
さっ、ウルサイのに見つかんないように、こっち、こっち!」

浩大は超派手なシマシマなシマリスの格好で、ご丁寧にクルンと丸まった大きな尻尾までついている。それなのに身ごなしは素早かった。

いよいよ収穫祭の始まり。
花火があがり、人々は笑いさざめき、道という道に人が溢れている。

街頭に設置されたスピーカーからはラジオ番組が流れていた。
「――このコーナーは、あなたのマジック・ナビゲーター、桃香ちゃんがお送りしまーす♪ 今日のパンプキン・トーク情報コーナー。いよいよ待ちに待った収穫祭がはっじまっるよ~。この地方の天候は晴れ、降雨確率は限りなくゼロパーセント。絶好のパレード日和、桃花もお祭りで素敵な肉食獣さんとの出会いを期待しちゃおっかな~♪―――」

この地域にこんなに大勢に人が住んでいたの?と不思議に思えるほど辺りは人だらけ。
そのくせ、みんな変てこな格好ばかり。ゴースト、黒いドレスローブをまとった正統派魔女もいるけれど、ライオン、カエル、シマウマ、バク、アルマジロ、ゾウ…? とてつもなく頓珍漢な格好の人々ばかりだった。

夕鈴は、小柄な男の後を追った。

「いーから。
この格好でちょっくらその辺見て歩こーぜ?」

「え、でも、李順さんとヘーカには何も…」

「ダイジョーブ、だいじょーぶ!
規模もでかいから、人も多いし、酒も入るし、バレねー、バレねー!」

あの人が、見せたくないっていうなら
見ちゃいけないのかなって思うけど
でもやっぱり見たい気持ちは、ある…。

夕鈴は自問自答した。

「サー、行こうぜ!
急がないと」

浩大は身軽にひょいひょいと人ごみを縫っていく。
夕鈴は必死に浩大を追いかけた。

「…ちょ、こ、浩大~っ!」

その時、風にあおられて、大きな帽子がフワリとうきかけた。
…ザワっと辺りの人々の空気が変わる。

「あ、ヤベ! こっち!」
グイッと手を引かれ、人ごみにまぎれた。

「…あんた。もっと注意しないと。
その額の――」

夕鈴はため息をついた。

…そうだった。

夕鈴自身には良く分からないのだが、陛下が捺したという魔法使いにしか見えない彼女の額の印が、なんだかものすごく目立ってるらしいのだ。

「…光が漏れるからさ。しっかりかぶってよ」

「分かってる!」
夕鈴はブスっとして帽子を両手でぎゅうぎゅう引き下げた。

「…なんでそんな前より目立つって…」
チロリと彼に覗き込まれ、夕鈴は真っ赤になって帽子を目深にかぶり顔を隠した。

「う――」

ここ数日のことは思い返したくもない――。

…陛下に、あんなとこ見られて
こんなことされて…

「…う、ギャーっ!!!」

正気になって考えた途端
思わず顔から火が出そうになり思わずあげてしまった夕鈴の叫び声も
収穫祭の空気に吸い取られ、歓声に紛れてしまった。

魔カボチャのためとはいえ―――
陛下のためとはいえ―――

真っ赤になって一人でボフンボフンと湯気をあげるウサギをしり目に、浩大はニヤニヤ笑った。

「あーまぁ、そーゆーことで
ヘーカと仲良くしてんなら、そりゃ、いーや」

「どーゆーことよっ!!
勝手な誤解しないでちょうだいっ!
私は単なるバイトで―――」

バイトで…

バイトだから。

はた、と彼女の動きが止まって
今度は浩大が真っ青になって彼女を取りなした。

「ま、ま、いっから。
とりあえず、行こう、な?―――だって、見たいんダロ?
ヘーカの公開評議」

夕鈴は、グッとこらえて、それからコクンとうなづいた。

「…ヘーカを応援しなきゃ」
夕鈴はグッと拳を握り締めた。

*

[お知らせ] 夏コミ2日目


<お知らせ>

今回も黄昏博物館の皆様のご厚意で
本を置かせていただけることになりました。

────────────────────────────
コミックマーケット88(2日目)
2015年8月15日土曜日

■ 東サ09a
■ 黄昏博物館&織座舎
────────────────────────────

たぶん新刊が・・・?

足をお運びの際は
スペース覗いていただけましたら幸甚にございます。
m(_ _)m

*

狼のーかの花嫁(26)


こんばんは。
ずいぶんと間があいてしまってすみません。
そろりそろりと再開です。

本来、こういう時は
これまでのあらすじとか入れるべきなんでしょうが…
あらすじれなかったです、ごめんなさい。

【予習復習って?】

忘れちゃった方は、申し訳ありませんm(_ _)m
リピートアフター第1話から←(?)

そして
ずいぶんぞんざいなサジ加減でお話しは進行中

あと
今回ついに【けもの】タグ付けることにしました。
お口に合わない場合は、無理なさいませんよう。

なんでも消化できる
ツワモノな貴女、宜しければ続きをどうぞ――。

【現パラ】【パロディ】【ファンタジー】【けもの】

* * * * * * *
狼のーかの花嫁(26)
* * * * * * *

(――優しい…)

何回目…?
そんなことも考えられない

長い長い口づけで
彼から与えられた唇の温もりは、
彼女にとって
嫌じゃなかった。

穏やかに指先で髪を撫でられるうちに、ドキドキ跳ねていた心臓もおさまっていく。

与えられた温もりがあまりにも居心地よくて
夕鈴はついうっかり、彼に気を許してしまったのかもしれない。

とくんとくんと刻む二人の心臓のリズムはいつしか溶け合って
触れたままシンクロした。

「…つまんない話、してもいいかな?

金色の毛皮に包まれた
小さなウサギの物語――」

(…陛下の声がどんどん遠く)

…ゆっくりと頭を撫でられるごとに
紗幕が下りるように、黒い睡魔がゆっくりと夕鈴を包んでいった。

相手が恐ろしい黒狼であることも忘れ
夕鈴はその腕に抱かれたまま
ウトウトと無防備に夢の世界へといざなわれる。

* * * * * * *

「――やっぱり。
そうなっちゃうか…」

丸まった彼女の背中をなでて、
黎翔はため息をついた。

手元には金色に輝くコートをまとった、小さなウサギ。

彼の様子が変わった

「君をカジりたい気持ち。

――抑えるの
ほんと、辛いんだけど?」

代わりに彼は、彼女の頬に指を這わせ、
顔を寄せて鼻づらに軽く歯を立てた。
金色の無邪気なウサギは、軽く鼻に皺をよせ
スリスリと頬を押し付け返す。

「――ほんと。
ゆーりん。
君。ちょっと無防備すぎて
ボク、困るんだけど、な…」

* * * * * * *

黒い獣が、金色の小さなウサギを懐に抱きしめるように横たわる。

ハアァ…と、狼から小さなため息が漏れた。

「ちゃんと話すって
約束したから――」

そういうと狼はペロリと兎を舐めた。

このままカジってしまいたい本能を押しとどめ
冷静を保つのは相当の苦行だが
狼はウサギに話しを続けるのだった。

毛皮と毛皮が触れ合うのが気持ちいいのか
無邪気なウサギはフコフコと鼻づらを小さく揺らしながら
目をつぶっている。

――まだこの世が夜と昼のはざまのように明けぬ混沌に満ちていた頃
地球という大地は幼く、濃密な大気には魔法の始原が溶けあっていた。

長い年月を経て濃密な大気は離散集合し、火、風、水、土と呼ばれる四大元素が分かれ、万物が生成された。
四大元素それぞれに属する妖精や魔獣の類が地上にはびこっていたその昔、魔法使いとヒトは隔てなく暮らしていたそうだ

しかしヒトはいつしか我らこそがこの世を統べる長と主張しはじめ
傲慢になった彼らは争いの火種をこの世界に生んだ。

魔法使いが操る強大な魔力を恐れたヒトは魔力に対抗するため呪術を編み出し、
呪術師(ドルイド)は知識と技術の粋を極め、魔法使いに対する最終兵器を作り上げた。

最初はカブだった。
カブの中に稀に生まれる特殊なカブは
魔法使いの操る魔を吸い取り、魔法使いに大きなダメージを与えた。

研究と改良の結果、カブよりも更に強力なカボチャ見つかった。
そのカボチャは、より沢山の魔力を吸い取る能力があって、ドルイド達は研究の末、ついには魔法使いを亡ぼすほどの力を備えた恐ろしいカボチャを生んでしまった。

…それが退魔カボチャとよばれるランタンカボチャの始まりだった。

互いがいるから、万事につけ事象は発達する。
どちらも引かないから、どんどん深みにはまる。
…そう思わない?

退魔カボチャに天敵が現れた。
――ウサギだ。

ある時、ウサギ族の中に、ちょっと変わりものが生まれ落ちたそうだ。

そのウサギは魔力が大好物で、魔力を吸い取った魔カボチャが大好きだった。
ランタンカボチャが大好物のそのウサギは、夜闇に金色に光っていたそうだ。

でもウサギは魔力の影響を受けることがなかったから、美味しいディナーをたらふく食べその身の内に溜った精霊の始原たる魔力を自然に開放するために、種子を結ぶんだって。

金色のウサギが滑らせて結ぶ核。
…それが魔カボチャ。

退魔カボチャがあるから
魔カボチャが生まれた。

金色ウサギは時々生まれるが、その子がその性質を必ず受け継ぐというわけでもなかった。
時には何かに紛れ込んで生まれることもあるというし…精霊の気まぐれだと言われているよ。

君が
ウサギに戻ったのは
私の作った糧を口にして魔に触れたからだろう。

でも、それだけでは君がウサギに戻ることもなかった

魔を帯びた君をエサだと勘違いした退魔カボチャは
僕と空の散歩中の君を地面に引きずり下ろした

――でも気の毒なことに退魔カボチャは
君が天敵の金色ウサギとは分からなかったんだね

君はウサギの本性を思い出し
金色ウサギに戻った君は逆に退魔カボチャを、やっつけた。

溜まった魔力を解放するため
君の手にはタネが結ばれた。

僕としては、もっと君と口づけしたいけど
そのたびに金色ウサギに戻っちゃうから
これ以上二人の関係が進まなくて困るな―――。

狼は、ウサギの首筋に彼の鼻面を埋めた。
ウサギの胸から伝わるドキドキと速い鼓動を、狼は満足そうに鼻面で受け止める。

今度の収穫祭の魔法戦のためといえば、当初の目的はそうだった
けれど
僕たち二人のためにも
魔カボチャは必要なんだ。

「良いカボチャを育てよう」
ニヤリと狼が微笑むと、ウサギがウトウトしながら反応した。

「いい、かぼちゃ…
どんなかぼちゃ?」
耳がピクリと片方立ち上がる。

変化に慣れていない彼女は、
まだ体と心のつながりがうまくいかないのか記憶が朦朧とするみたいだ。
3回目の変化だから、少しずつ、つながってくるのかな?

黎翔はギュッと前足でウサギを包む。
…あったかくて柔らかい肉の感触に、思わず背筋がキュッと縮み上がり
衝動的に柔らかい喉元にかぶりつきたくなるのを必死に抑えた。

「…形よく
色つやよく
そしてとびきり大きい―――」

そう。
その通り

本来魔力は混沌とともに自然に溶け込んでいたけど
魔法使いが扱う場合は違う。

魔法使いの質や器量が大事なんだ

使い手の属性で扱える魔法の質も変わるし
使い手の器が小さければ魔力を扱える量はおのずと決まる

でも、ぼくは

「…違うの?」

火、風、水、土といった四大元素に縛られず
器がない

「器がないって?」

全ての魔力を強引に引きだして自分の魔に統合してしまう
限りがない

「限りがないって
なんでもできる、ってことでしょ?
それって、とってもいいことじゃないんですか?」

そうかな

君はそう、本当に、そう思う?

「何もできない。
君を愛することすら」

そう言うと、狼はごろりと前足でウサギをひっくり返す。
腹側の白い綿毛を晒した兎は、ピンと四肢を硬直させ
そのまま狼の前足で押さえつけられた。

あ、…い――!?

夕鈴は霞のかかった脳みそのなかで…
訳が分からずグルグルと問いかけを反芻した

「ちょ、
ちょ
ちょっと、待ってくださいっ!?」

…えっと。何のお話だったっけ?
えーと
その。
「金色の毛皮に包まれた
小さなウサギのお話って。
…結局、どうなったんですか?」

狼が前足の手を緩めると
ウサギはくるりと反転し
ピョコっと頭を上げた。

夕鈴は感じた。
後頭部で耳がシュッと持ちあがる感覚。

目を見開いているつもりなのに、視点が結ばれず、近くは見えない。
というより、
目の前は黒くてふかふかつやつやしたもののなかに沈み込んでいた

身動きできない

ペロリと舐められる。
ゾクリと背中が凍る。
本能的に夕鈴は恐怖に支配された

「―――狼…陛下っ!?」

狼はニヤリと笑った。

「ねえ、夕鈴。
食物連鎖って言葉、知ってる?」

「しょくもつれんさ?」

「狼はウサギが大好物、ってこと」

夕鈴はハッとした。
(逃げなきゃ!?)――本能がそう叫ぶ

辛うじて手を引っ張りだすことができた

その手は金色の兎の前脚。

それを狼は黒い前足で
スタン、と抑え込んだのだった。

「ギャぁああ~~~っ!?」

*

[お知らせ] ユーザー登録について


いつもご訪問くださり、ありがとうございます。
暫く更新が滞り申し訳ございませんでした。

ただいま、です。
高いヤマひとつ乗り越え無事帰還いたしました

今はまだコトが終わった直後で後始末もあればルーティンワークはフツーに平常運転
今日の夜くらいは寝かせてくださいという気分でちょっと連載再開が遅れてすみません。

お外に行っている間に
ユーザー登録についてお問合せいただいておりました。
お返事が遅くなって申し訳ありません


■ユーザー登録について

当ブログのユーザーとしてご登録いただきますと、下記の内容にご参加いただけます。

・日記コメントの書き込み
・限定公開ページの閲覧

■ユーザー登録の方法

こちらのログインフォーム よりどうぞ。

※こちらのブログの大元のソフトが英米のプログラムのため、IDは英数字のみとなります。少々ご不便おかけします。
名前=ハンドルネーム(コメントで表示されるお名前)に関しては、漢字、かなも用いることができます。

・ID:英数字
・パスワード:英字(大文字、小文字)、数字、記号
・名前(=ハンドルネーム):英数字、漢字、かなもOK

[追記]2016-6-24
ユーザー登録、あるいは ログイン時に、ロボットによる不正アクセスを防ぐため、
・画像に表示される英数字を入力していただく欄
あるいは
・簡単な足し算の答えをご入力いただく欄
が表示される場合があります。※(人の手で入力してるかどうかのチェック)
※英語圏のソフトのため、英語表記されるかもしれません。ちょと分かりづらくてすみません。

■お問い合わせ

なにかご不明な点がございましたら
総合案内 お問い合わせ フォーム よりどうぞ。


管理人
織座舎 おりざ