のんびり いいこと


(初出:2015年05月04日20:30 SNS)
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昨日今日、東ではスパコミ
黄昏博物館さんのスペースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました!!

新刊完売、感謝です(^人^)m(_ _)m
黄昏博物館の館長さま&皆様、本当にありがとうございました!!

私はN県の方へ行ってまして帰ってきました

世俗と疎く、マイナスイオンでのんびりリフレッシュ

 

 

【相思相愛/婚約中】

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のんびり いいこと
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夕鈴を正妃にするために、いろいろ片づけておかねばならないことがある。
自分の意志を貫きワガママを通すのだから、
誰にも口出しされぬようすべきことは精力的にこなさねば。

黎翔は日々の政務に加え、多岐に渡る業務を捌くため、連日遅くまで様々な仕事で多忙な日々を送っていた。

ようやく後宮入りが整い、
久しぶりに夕鈴の部屋をゆっくり訪れる時間をつくることができた黎翔。

いよいよ、二人きりの時間…。

「…待たせた、夕鈴」

「お帰りなさいませ、陛下!」

黎翔はいつもよりも慎重に夕鈴の傍に近寄ると、優しく抱きしめた。

「これからは、ずっと一緒に居られる」

夕鈴は頬をそめて頷いた。
「…はい、嬉しいです」

いつもと違う雰囲気を感じた夕鈴。
そっと見上げると、いつもより真剣な黎翔の眼差しに捕えられる。

「…愛しい妃よ。
私になにか、望みはあるか?
君の願いなら、なんでも叶えよう――」

夕鈴はじっと黎翔の顔を見つめた。
彼女の瞳に嬉し涙がにじむ。

(ゆーりんが私に、何を願うのだろう。
ドキドキするなぁ…)

長い間そうして二人っきりで温もりを確かめ合っていた夕鈴は
はっと、何かに気が付いたように表情が変わった。

「願いは、決まった?」

黎翔は眼を輝かせた。

「…あの」
言い出しにくいのか、夕鈴は黎翔の胸をおし二人の間に距離をとった。
振り返り、モジモジとする兎。

(どれほどの願いだろうと、君の願いならなんでも…。)
黎翔は今、とても幸せだった。

「…ん?」
黎翔が優しげに促す。

「――陛下。
離宮の温泉に行きましょう!」

「…え?」

黎翔からは思いのほかテンションの低い声が返ってきた。
夕鈴は少しがっかりした表情を見せた。

『確かに、なんでも彼女の願いを叶える、と言った。
そして以前、夕鈴は離宮の温泉めぐりにハマっていた。

でも、離宮はメンドクサイ。
特に長らく『待て』された今、わざわざ遠出する時間が惜しい。
それなら、二人きりの蜜月をのんびりと楽しみたいのだが…』

黎翔は内心そう思っていた。

「君が望むのなら
来年の秋ごろなら、日程を調整して…」

夕鈴はブンブンと首をふった。

「すぐ、です!」
夕鈴は熱心に勧める。

「――だって、離宮、遠いし。
…メンドクサイし」

黎翔は小犬になって、ため息をついた。

「そんなことありませんよ!
離宮にいったら、いい事がありますってば!
…確かに行くまではちょっと面倒かもしれませんが、行ってしまったら天国ですよ?
温泉で肌を磨けばすべすべになるし、
解放的な場所で癒されれば、きっとお疲れもとれますって――」

モジモジとしながらも、夕鈴は熱心に勧める。

「――ね?
のんびり、いいことしましょうよ」

黎翔の胸に、その言葉がさくーっと突き刺さった。

(離宮に行ったら、いいことがある?)

「――それなら行ってもいいかなあ…」

たしかに、最初はちょっと旅の解放とかに手伝ってもらわないと
彼女みたいな真面目な性格では、弾みがつかないのかも…

「たしかに…」

黎翔が無意識に自分のあごに手をやりスリスリとなで、
ちょっとうつむいて照れた様子をみて、夕鈴は察した。

「陛下っ!
やっぱり日ごろからお肌の手入れ、されてるんですね?」

「…は?」

兎がトコトコと近づき黎翔に密着するほど近づいた。

黎翔は(え、ゆーりん…何だか今日は、積極的だね)とドキドキした。

夕鈴は手をのばすと
黎翔の目の下にうっすらでている隈を優しくなでた。

「分かってます。
正妃とか
これまで以上に後宮に通う時間が増えれば
陛下を疲れさせてしまいますよねっ!?
只でさえへーかはお疲れなんですから。
離宮ならそんな人の眼も少ないし…」

「…何のこと言ってるの?」

「だから、
へーかはゆっくり温泉に入って
別々のお部屋で安心してぐっすりお休みくださいっ!」

「ちょっとまって。
ゆーりん。僕が期待してるのは…」

*

はい。
良い子はここまで!
*